【早出し】山形新幹線つばさ、最大5時間遅れ 福島駅で保守車両から油漏れ

運行状況を確認する利用客=2日午前10時17分、山形市・JR山形駅

 2日午前5時5分ごろ、福島市のJR福島駅で、線路の保守用の車両から線路に油が漏れているのを、作業員が発見した。復旧作業のため、山形新幹線つばさや東北、秋田の各新幹線は区間運休などとなり、つばさは最大5時間遅れ、約4万3500人に影響が出た。今年に入り、山形、東北の両新幹線では、オーバーランや停電などトラブルが相次いでいる。

 JR東日本新幹線統括本部によると、保守用の車両は「確認車」と呼ばれ、給油口の接続部から、油が漏れたとみられる。同社山形支店によると、本県関係では山形新幹線つばさの上下3本が遅れ、午前10時50分ごろから、福島-新庄間で折り返し運転となった。午後0時半には復旧したが、上下計5本が区間運休し、上下7本が運休した。奥羽本線の普通列車は福島-米沢間で上下2本が遅れ、つばさを含め3620人に影響した。

 同本部によると、確認車は新幹線の始発前に線路や架線の安全確認を行っていた。油圧の低下を知らせるアラームが鳴り、作業員が確認したところ、油が漏れており、下り線の福島-白石蔵王(宮城県白石市)間の16.5キロ区間で、線路に油が付着していた。吸着マットで拭き取って除去した。

山形駅など、年度初め重なり混雑

 山形新幹線の大幅なダイヤの乱れは、年度初めの異動期と重なったこともあり、県内の新幹線停車駅では、多くの人で混雑した。首都圏と本県内陸部をつなぐ大動脈は度重なるトラブルに見舞われている。JRの山形駅では2日午前9時半すぎ、切符の払い戻しや運行状況を確認しようと、みどりの窓口に長い列ができた。

 息子の入学式に参加するため東京方面に向かおうとした西川町睦合、町臨時職員設楽祥子さん(49)は「新幹線を利用するたび、地震やトラブルなどで遅れている印象。引っ越し作業の手伝いもあるので、今日中には着きたい」と語った。山形市下東山、会社員石山優生(ゆう)さん(20)は都内で午後1時からある入社式に行く予定だったがオンラインで出席することになった。「新入社員が集まる機会だったので残念だ」と話した。静岡県から来た孫を送りに来た山形市相生町、無職小林賀子(のりこ)さん(69)は「最近、新幹線の遅れや運休が相次いでいる。遅れた場合の対応や案内を分かりやすくしてほしい」と漏らした。

 米沢駅では、家族で東京に行く予定だった高畠町相森、会社員油井邦宣さん(44)が「雪の影響での運休ならまだ理解できるが…」と嘆いた。大阪府東大阪市から出張で米沢市に来ていた会社員西大輔さん(43)はダイヤの乱れで予定した仕事が中止となり「困ったが、どうしようもない」と語った。

今年に入ってからの山形新幹線が関わる主なトラブル

▽1月23日 金沢発東京行き北陸新幹線が大宮-上野間を走行中、付近で架線が垂れ下がった影響で停電。山形、東北など各新幹線も運休 ▽3月6日 JR郡山駅で、東京発新庄行きつばさ121号が停止位置から約500メートルオーバーラン ▽3月15日 上山市のJRかみのやま温泉駅の駐輪場にスーツケースが放置され、県警が周辺の立ち入りを規制。つばさなどの運転を見合わせ ▽3月29日 東北新幹線の大宮-小山間で、送電トラブルが発生。山形、東北などの新幹線が上下線で一時運転を見合わせ

みどりの窓口に並ぶ利用客=2日午前10時7分、山形市・JR山形駅
改札前で駅員に状況を尋ねるなどして、山形新幹線つばさの運転開始を待つ利用者ら=2日午前10時52分、JR米沢駅

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