「だまされた方が悪いのか」警察対応に詐欺被害女性憤慨 民事と扱い相談軽視 鹿児島県公安委員会が指導「不正確な記録、組織的検討も不十分」

県警に対し「誠実に対応してほしかった」と訴える女性=2日、鹿児島県内

 鹿児島県内の50代知人女性から現金200万円をだまし取ったとして、無職の被告の男(56)=住所不定=が詐欺容疑で逮捕、起訴された事件を巡り、鹿児島南署は女性からの相談を「直ちに詐欺と判断できない」と処理し、県公安委員会から「署の対応は適切さに欠ける。相談者の心情に配慮した誠実な対応を」などと指導されていたことが2日、分かった。女性は「警察にはもっと早く動いてほしかった。家族が同様の被害に遭っても同じ対応をするのか」と話している。

 女性によると、2022年に同署に計3回相談したものの「男女間の貸し借りだ」「事件にならない」とされた。女性が情報開示請求で入手した文書には「民事上の問題の可能性がある」などと記されている。

 女性が23年8月、県公安委員会に苦情を申し出たところ、今年3月7日付で「具体的な被害相談をしたにもかかわらず、一般的な相談対応にとどめ、申し出の内容を記録化する際に正確性を欠き、組織的な検討が不十分なままの対応だった」との通知を受けた。女性は「虚偽公文書作成罪で県警側を15日に告訴した」と話している。

 起訴状などによると、被告の男は2019年12月ごろ、銀行員になりすまして「ノルマが不足している」などと女性をだましたとされる。事件は改めて相談した姶良署が捜査し、今年3月11日に詐欺の疑いで逮捕。鹿児島地検が4月1日に起訴した。女性は「警察には不信感しかない。だまされる方が悪いと言われている気持ち」と憤った。

 県公安委員会と県警本部はそれぞれ「個別案件について答えることはできない」とコメントした。

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