【中国】空飛ぶクルマ、26年の産業規模2千億円へ[運輸]

中国工業情報省(工情省)系の研究機関である賽迪顧問は1日、「空飛ぶクルマ」を含む電動式垂直離着陸機(eVTOL)の中国の産業規模が2026年に95億元(約1,990億円)になると予測した。23年から10倍近くに拡大する計算。中国で低空域を活用した経済活動「低空経済」が成長する恩恵を受けるとの見方だ。

賽迪顧問は低空経済に関する報告をまとめた。低空経済とは、ドローンをはじめとする民用の無人航空機と有人航空機を中心に、乗客・貨物輸送やその他の低空飛行活動によって、関連分野の融合的な発展をもたらす経済形態と定義される。

中国の23年のeVTOL産業規模は前年比77.3%増の9億8,000万元で、2年連続で7割以上の高い伸びを記録した。賽迪顧問は、「24年にeVTOL産業の商用化が爆発的に進み、規模が大幅に拡大する」との見方を示した。

eVTOLの型式証明(TC)の取得も広がっている。3月には上海峰飛航空科技が自社開発した「V2000CG」、広東匯天航空航天科技の「X3—F」がTCを取得。中国証券報(電子版)によると、スタートアップの御風未来や自動車大手の浙江吉利控股集団系の沃飛長空科技(成都)、上海沃蘭特航空技術など複数社もTCを申請している。

民間用ドローンの産業規模も拡大しており、23年は32.0%増の1,174億3,000万元だった。内訳は工業分野が766億8,000万元、消費分野が407億5,000万元。地域別で見た産業規模は広東省などを含む中南地域に75%が集中し、華東地域(10.3%)、華北地域(9.3%)と続いた。

賽迪顧問は、eVTOLやドローンの製造、専用飛行場といったインフラ施設などを含む中国の低空経済の規模が23年に前年比33.8%増の5,059億5,000万元になったと指摘。需要拡大や関連インフラの整備などを追い風に、26年の規模は1兆644億6,000万元になると見通した。

© 株式会社NNA