富山の桜やっと開花 北陸で最も遅く宣言

開花したソメイヨシノを眺める家族連れ=富山市の松川べり

  ●川沿いの標木、低温影響か

  ●例年一番の松川べり、地震が関係? 

 富山地方気象台は2日、富山市で桜(ソメイヨシノ)が開花したと発表した。昨年より11日遅く、平年より1日早かった。金沢と福井は既に1日に開花宣言が出ており、北陸三県で一番遅くなった。北陸の名所で例年一番乗りの富山市の松川べりも咲き始めたばかり。専門家は2、3月の気温の低さを理由に挙げており、松川べりでは能登半島地震の影響を指摘する声も聞かれる。

 気象台によると、2018年以降の富山市の開花は3月下旬がほとんどで、4月に入ったのは2022年(1日)の1回のみ。昨年は3月22日で、1953(昭和28)年の観測開始以降で最も早い開花だった。

 2014年以降、過去11年間の富山と金沢の開花日を比べると、富山が早かったのは4回だった。富山地方気象台内にある標本木の状況を見て宣言している。

 ただ、富山県内屈指の花見スポットとして知られる富山市の松川べりは例年、宣言より早く開花することで知られる。市科学博物館が13~16年に実施した桜の開花調査では気象台の宣言より2~5日早かった。

 博物館によると、川沿いの桜は川から吹く冷たい風の影響を受ける。気象台の標本木は神通川近くにあり、この影響を強く受けているとみられる一方、松川べりは流れが遅く、川幅が狭いため吹きにくい。都市部の気温が郊外と比べて高くなる「ヒートアイランド現象」や水面からの照り返しもあり、気温が高くなりやすいという。

 松川べりは今年、能登半島地震の影響で護岸が崩れ、船着き場の石畳がはく離するなどの被害に遭い、遊覧船の運航が一時危ぶまれた。県庁や市役所横の松川沿いの市道では道路陥没などで通行止めとなっている部分もある。

 遊覧船を運航する富山観光遊覧船の中村青児常務は「車の交通量が減って暖かい排ガスが少なくなったことも影響しているかもしれない」と推測した。早くから活気づいた昨年を振り返り、「今年は開花が遅かった分、満開が長く続いてほしい」と願った。花見に訪れていた40代会社員は「地面がひび割れた影響もあるのではないか」と話した。

  ●6日にも満開

 日本気象協会によると、富山市での満開は6日と予想している。平年より2日早く、昨年より10日遅い。

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