【巨人】犠打のミス、サヨナラ負けでも淡々…阿部監督はセルフコントロール術で怒りを封印

無表情で戦況を見守る阿部監督

巨人は2日の中日戦(バンテリン)に延長11回の末、3―4でサヨナラ負けを喫した。5回まで3点をリードしながらも終盤で追いつかれ、最後は白星を献上。本来ならばイライラが爆発しそうな展開でも、試合中の阿部慎之助監督(45)は無表情のまま泰然自若の姿勢を貫いた。あえてベンチ内では感情を押し殺す――。そんな指揮官のセルフコントロール術が注目されている。

〝8回の男〟がまさかの2戦連続被弾でごう沈した。延長11回、マウンドに立った中川が細川に痛恨の一発を被弾。阿部監督にとっては指揮官就任後、初のサヨナラ負けとなったが、それでも淡々とした表情で敗戦を受け止めた。

試合後は「責められないね。ピッチャーは」と救援陣の粘りをたたえると、延長11回無死一塁で大城卓が犠打を失敗したプレーに「あれがすべてだわ。野球の神様が怒ったな、最後な。(大城卓)本人が一番悔しいだろうから、明日の本人の行動を俺は観察する」と冷静な口調で言い放った。

この日は大城卓以外にも山崎伊、佐々木と計4度にわたって犠打のミスが出た。指揮官はベンチで自らサインを送ったものの、失敗の瞬間も表情を変えなかった。

普通なら怒りを爆発させても不思議ではないが、指揮官は驚異のセルフコントロール術で封印。チーム関係者によれば「阿部監督はベンチでは極力、感情を表に出さないようにしています。その分、開幕カードの阪神戦(東京ドーム)で勝った時は、ベンチ裏のサロンで『ヨッシャーッ!』と大きな声で喜びの感情を爆発させていました」という。

確かに開幕前のオープン戦とはいえ、本拠地・東京ドームで劇的なサヨナラ勝ちを果たした3月19日のロッテ戦でも、阿部監督は勝利の瞬間にベンチ内で小さく拍手しただけだった。「ベンチで一喜一憂すれば、相手になめられるという考えからでしょう」(前出の関係者)

実際に阿部監督自身も「選手にはカッカしてやってもらって、緊張してやってもらって。僕はしっかり冷静に野球を見て、指揮を執ることができたらいいよね」と語っており、常にベンチでは平常心を心掛けているようだ。

ポーカーフェースを貫くGの若き指揮官がベンチで破顔一笑となるのはリーグV、そして日本一奪回を果たすタイミングまでしばらくお預けとなりそうだ。

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