「学校は疲弊」教員不足に歯止めかからず…最多422人 若手PTが教員の増員など求める

PTの代表者から提言書を受け取る花田教育長(右)=3月27日、県庁

 教員不足に歯止めがかからない。神奈川県教育委員会が所管する公立学校では1月時点で422人(速報値)が不足し、県教委が調査を始めた2021年度以降で最多を更新した。学校現場のこうした窮状を抜本的に改善するため、若手教員でつくる県教委のプロジェクトチーム(PT)が働き方改革の提言をまとめ、花田忠雄教育長に提出した。「学校は疲弊している」とし、教員の増員などを求めている。

 県教委の集計(政令市の小中学校を除く)によると、不足数は前年度同期(268人)の約1.6倍に達した。422人の内訳は小学校183人(前年度同期比37人増)、中学校65人(同13人増)、県立高校38人(同13人増)、県立特別支援学校136人(同91人増)。

 教員不足の主な要因は、教員の産休や育休の代役となる臨時的任用職員の不足だ。長時間労働を敬遠して教員を志望する学生が減り、採用試験の倍率が下がって受かりやすくなった結果、臨時的任用職員に就く層も薄くなっているという。

 関係者の間では、働き方改革だけでは限界があり、増員を求める声が上がる。ただ、なり手不足が続く中では効果が限定的になるため、労働環境を改善して志望者を増やす方策の必要性が指摘されている。

 こうした現状がある中、35歳以下の小中高校、特別支援学校の教員14人で構成されるPTは、人員体制の改善、業務の削減、情報通信技術(ICT)の活用、教員の意識改革、保護者・住民の協力といった観点から11の提言をまとめた。

 現場の窮状について、教育内容の拡充に加え、支援の必要な子どもが増える一方、産・育休や休職の代替教員が見つからず、校内でやりくりせざるを得ないと指摘。「小学校では特定の教科だけを教える専科の教員や教頭が担任を務めるケースもある」と明かし「児童生徒と向き合う時間が足りない」と訴えた。

 改善策として、教職員定数を引き上げて教員を増やし、1人当たりのこま数を減らすよう提言。ICT機器の管理や会計業務を担う外部人材の拡充も要望した。

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