「稀有な存在に変わった」メジャー123年間で2人目の偉業を達成したカブス今永昇太に地元メディア絶賛止まず!「口笛と歓声が興奮を物語る」

衝撃の快投デビューを飾った日本人左腕に地元メディアの賛辞が止まない。

現地4月1日、今シーズンからシカゴ・カブスに加入した今永昇太が本拠地リグリー・フィールドでの開幕戦に先発登板。コロラド・ロッキーズ相手に6イニング(92球)を投げ、2安打無失点。9個の三振を奪う圧巻のピッチングを見せ、メジャー初勝利を飾った。

気温6度のなか、今永はひとり半袖姿で臨み気合十分。初回に2番ブレンダン・ロジャースを伝家の宝刀スプリットで空振りに斬って取り、バッテリーを組むヤン・ゴームズも捕れないほどの落差でメジャー初三振を挙げた。

今永のギアはさらに上がる。速球で押したり、スイーパー、スプリットなど切れ味鋭い変化球で次々とロッキーズ打線から三振の山を築き、5回までに出した走者は失策によるひとりだけ。無四球、8奪三振の素晴らしい内容でノーヒットを継続した。

両チーム無得点で迎えた6回2死、今永は1番チャーリー・ブラックモンに初安打を許し、さらに連打を浴びて一、二塁とピンチを招く。この試合最大の山場となり、昨季20本塁打を放った強打者ノーラン・ジョーンズと対峙した日本人左腕はギアをもう一段階上げてカウント1-2で追い込むと、最後は真ん中低めに92.6マイル(約149キロ)の速球をズバッと決めて空振り三振。9個目の三振を奪うと、今永はグラブを叩いて雄叫びをあげ、チームメイトを鼓舞。躍動する日本人ルーキーに地元ファンは惜しみない拍手を送った。

その直後、1安打に抑えられていた味方打線がようやく目覚めて3点を奪取。7回にも2点を加え、カブスが5対0で完封勝ち。6回でマウンドを降りた今永に白星が転がり込んだ。
日本人左腕の快投には、長い歴史を誇るメジャーの中でも偉大な記録がついた。球団公式によると、「本日ショウタ・イマナガが、少なくとも1901年以降のメジャーの歴史で史上2人目のMLBデビュー戦で6回を投げきり無失点、無四球、9奪三振以上をマークした」とSNSに報告。ハイライト動画には「イマナガをもっと好きになった!」「ショウタはヒーローだ!」「グッジョブ!」など、ファンからの称賛が多く寄せられた。

無論、地元メディアは大活躍の30歳サウスポーを激賞している。

シカゴの日刊紙『Chicago Tribune』は「ショウタ・イマナガはメジャーデビューを、まだスプリング・トレーニングであるかのようにロッキーズを翻弄した。彼らは日本人左腕を攻略できなかった」と、わずか2安打に抑えた投球術を絶賛。さらに「イマナガは初勝利を手にする過程で、稀有な存在に変わった」と言及。カブスでのデビュー戦登板で9奪三振はダッチ・ロイター(1917年)、ジョーダン・ウィックス(2023年)に並ぶ球団史上2番目の記録だと紹介した。 別紙『Chicago Sun-Times』は、今永がマウンド上で叫んだ渾身のシーンを記事写真で使用。「6回表、左腕のショウタ・イマナガがマウンドに足を踏み入れた瞬間、スタンドのカブスファンは総立ちになった。口笛と歓声がその興奮を物語っていた」と、この日のヒーローを称えた。

本拠地開幕戦を白星スタートで切ったクレイグ・カウンセル監督は「イマナガが今まで、大事な場面で投げてきた選手であることは間違いない。素晴らしい経験を積んできた選手であることが、今日明らかになったね」と、6回まで完璧にゲームを作った左腕のスキルに脱帽。「すぐ試合に入り込んで、闘争心を持って投げていた。彼の調整能力は一流だ」と褒めちぎった。

指揮官の言葉を受けて記事を執筆したマディ・リー記者は、「大事な場面といえば、イマナガは昨年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)決勝で、侍ジャパンの先発として米国と対戦した。そして、ロッキーズ戦の先発は彼のキャリアの新しい章を開いた。メジャーデビューで輝かしい成績を収めたのだ」と鮮やかなパフォーマンスを振り返った。
今永は試合後、最後の打者を打ち取った場面について「最後の三振は、独特の雰囲気だった。球速はベストではなかったかもしれないが、ファンの声援を受けて、あの三振を取ることができました」とホームに駆け付けた観客の声援に感謝を述べ、次戦の意気込みを示した。

地元シカゴ・メディアやファンのハートをガッチリ掴む強烈なインパクトを残した今永。次戦の先発は現地4月7日のロサンゼルス・ドジャース戦が予定されており、大谷翔平との日本人対決が期待されている。

構成●THE DIGEST編集部

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