軽症の久保建英とようやく復帰の冨安健洋、重要な終盤戦を迎える2人の日本人選手に対して現地メディアも期待大!

ラ・リーガ第30節のアラベス戦、先発出場を果たした久保建英は前半終了間際に右足を痛め、ドクターの手当てを受けた後、そのままシェラルド・ベッカーとの交代でピッチを退いたが、後にメディカルレポートで「右足のハムストリングに違和感を抱いている」ことが明らかにされている。

怪我の程度が気になるところだったが、複数の現地メディアが報じたところによると、スビエタ(ソシエダの練習場)での検査では「軽症」であることが判明し、骨折の可能性を調べる検査なども行なわれなかったという。すでに、理学療法士による治療が開始されており、この数日で問題がなければチームに復帰することが可能のようだ。

幸いにも、今週末はコパ・デル・レイ決勝(アスレティック・ビルバオ対マジョルカ)が行なわれるため、ラ・リーガは休みであり、ソシエダは次戦の31節アルメリア戦(4月14日)までは約2週間も時間があることで、どうやら久保はコンディションを整えてこの一戦に臨むことができると見られる。

現地メディアは、これがソシエダにとって重要なことであると指摘。マドリードのスポーツ紙『AS』は、「この日本人選手は、ラ・レアルの攻撃における主武器のひとつであり、イマノル・アルグアシル監督の下ではその不在は常に目立つこととなる」「2週間試合がないという事実は、問題なく彼らにとって有利に働く。日本人選手は残りの試合をひとつも欠場しないで済むよう、怪我の回復に取り組んでおり、今後はクラブから注意深く見守られ、深刻なトラブルを避けるための措置も取られる」と綴った。
また、スポーツ専門サイト『ESTADIO DEPORTIVO』は、「久保はイマノルにとって重要な存在であり、今季は30試合以上に出場。ラ・リーガでもチームの柱として7得点3アシストを記録しており、これはラ・レアルの全ゴールの23%に彼が関与していることを意味している。今後の重要な戦いにおいて偉大な選手のひとりを失うわけにはいかない。欧州カップ戦出場権を目指すチームにとって、元レアル・マドリー選手の存在は、これまで以上に重要となる」と、こちらも彼が不可欠な存在だと強調している。

一方、プレミアリーグ第30節、アーセナルがマンチェスター・シティと対決した大一番では、長く戦線離脱を余儀なくされていた冨安健洋が66分、ヤクブ・キビオルに代わってピッチに登場。「ガンナーズ」では20節フルアム戦以来のプレーであり、なんと2024年最初のことであった。

年末にふくらはぎの負傷で公式戦6試合を欠場した後、前述のフルアム戦でようやく復帰して45分間ピッチに立った彼は、今年1月から日本代表に合流し、アジアカップでは4試合に出場(先発出場3試合)。しかし、ここでふくらはぎの不具合が再発してしまい、治療とリハビリの日々を強いられた後、ようやく3月12日のポルト戦(チャンピオンズ・リーグ)でベンチ入りを果たし、代表ウィークを経てついに復帰を果たした。 両チーム無得点の状況で試合に入り、対峙したドリブラーのジェレミー・ドクに最後まで対応し、多くの現地メディアから及第点以上の評価を得た彼については、アーセナルのクラブ専門サイト『PAIN IN THE ARSENAL』は、以下のように綴って万能のDFの帰還を歓迎している。

「怪我に関しての朗報は、先発メンバーだけでなく、66分にはMFトーマス・パーティと冨安が復帰し、アーセナルにとっては大きな後押しとなった。(中略)特に冨安は、オレクサンドル・ジンチェンコとジュリアン・ティンバーも負傷するなど不安視されていた守備陣に必要な層の厚さを提供。これ以上に良いタイミングでの日本人DFの復帰は考えられない」

かたや今季もチームの不可欠な攻撃の核として出場過多と言われながらもほぼコンスタントに活躍を見せ続け、今回も何とか大きな怪我を免れたようである久保。かたや慢性化しつつある怪我に今季も苦しめられながら、ようやく終盤戦を迎える時点で復帰した冨安。今季はここまで対照的な道のりを歩んでいる2人の日本人だが、残りシーズンでは大きな目標を持つチームにおいて重要な役割を担うという共通点を持つ。
ただ、久保についてはこの先、ひとつも落とせない厳しい試合が8つも控えており、さらにその後には(U-23日本代表が予選を通過した場合に)パリ・オリンピックへの出場の可能性も示唆されており、サッカー専門サイト『GOL』は「国を代表したいという願望と、燃え尽き症候群や負傷の可能性のリスクを、慎重に比較検討する必要がある。この状況は久保だけでなく、最も貴重な資産である選手の健康を効果的に管理するクラブの能力が試されることになる」と指摘している。

一方の冨安に対しては、やはり怪我の再発の不安は今後もついて回ることになり、現地メディアは彼の能力を高く評価しながらも、やはり継続して起用できないリスクがあることから、今夏は新たなSBの獲得が必至であると伝えており、継続性という点でチームから信頼を得られるかどうか、残りのシーズンで正念場を迎えることになる。

クラブにとっても、自身にとっても重要なシーズン終盤戦となるが、この2選手のパフォーマンスを、期待をもって見守りたいところだ。

構成●THE DIGEST編集部

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