大成建設/国内初のCCS事業参入へ推進室新設、専門人材を確保

大成建設は、国内初となる海底下の地中を活用した二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)事業の参入に向けた活動に一段と注力する。1日付で土木本部土木技術部に「CCS事業推進室」を新設し、社内外からCCSに関する多様な専門人材をそろえた。2030年度までの事業化を支援するエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の「先進的CCS事業」に、ゼネコンとして唯一参画する。
CCS事業推進室は、清水正巳執行役員技術担当兼土木本部土木技術部長や大井純室長ら約10人体制で発足した。00年代初頭から国内外で実績を積み上げてきた同社のCO2地下貯留シミュレーション技術に加え、▽地質▽物理探査▽坑井掘削▽貯留槽▽安全設備-など各分野の専門人材を外部から招き入れた。
大成建設は23年度、JOGMECの「先進的CCS事業の実施に係る調査」に選定された7プロジェクトの一つ、「日本海側東北地方CCS」事業に伊藤忠商事、日本製鉄、INPEX、太平洋セメント、三菱重工業、伊藤忠石油開発とともに7社連合として参入した。製造工場などから回収したCO2を液化して船で輸送し、受け入れ基地で荷揚げしたCO2を地中に圧入する事業モデルを想定する。
大成建設はINPEXと共同で、CO2貯留に関する地層のモデル化やシミュレーションによる評価からCO2を圧入する井戸の掘削計画を担当。24年度は同調査に続き、近く発注される「先進的CCS事業に係る設計作業等」の受託を同じ7社連合として目指している。将来的に海外も含め同事業以外の事業展開も視野に入れる。

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