水機構/利根川河口堰大規模耐震対策に着手、総事業費550億円

水資源機構は2024年度、利根川河口堰の大規模耐震対策に着手する。機能を維持しながら門柱やゲート設備などの耐震補強、耐震対策を施す。流量調節や塩害防止、都市・農業用水の供給で重要な役割を果たす利根川河口堰の耐震性を高め、切迫する首都直下地震など大規模災害に備える。事業期間は38年度までの15年間。総事業費は約550億円を見込む。
利根川河口堰は利根川最下流部の千葉県東庄町と茨城県神栖市の間に架かる大規模な河口堰。1971年に完成した。河川勾配が緩い利根川下流部で、海水の逆流による塩害の防止や流量維持、水供給などを目的に建設された。
規模は総延長834メートル。制水ゲート(径間45メートル)7門、調節ゲート(径間45メートル)2門、閘門ゲート(径間15メートル)2門を備える。構造は制水ゲートがシェル構造ローラーゲート、調整ゲートが越流式シェル構造2段式ローラーゲート、閘門ゲートがローラーゲート。隣接して黒部川水門(延長55・4メートル、制水ゲート2門、閘門ゲート2門)が設置されており、一体で水機構が管理している。
利根川や支川の江戸川、印旛沼などを通じて水道用水を千葉県と千葉県銚子市のほか東京都、埼玉県にも供給。このほか工業用水(千葉県)、農業用水(千葉県北総東部用水)などの利水も担っている。黒部川水門は塩害防除に加え、洪水時に利根川本流が支線に逆流するバックウオーター現象の防止も役割となる。
大規模耐震対策では▽ゲート扉体の取り換え▽門柱部の耐震補強▽管理橋の耐震補強▽下流護床の復旧▽開閉装置更新-などを予定。黒部川水門でもゲート扉体の交換や門柱部の耐震補強を施す。工事は機能を維持しつつ順次実施する計画。今後、関係機関とも調整し具体的な施工計画の立案に入る。

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