まさかの登場に驚愕? 把瑠都にKONISHIKIも…有名スポーツ選手が出演していた意外な漫画実写化作品

アクションコミックス『弟の夫』第1巻(双葉社)

近年、ますます増えている漫画原作の実写化作品。有名キャラクターを演じる俳優陣も気になるところだが、俳優のみならず、有名な“スポーツ選手”が起用される場面も多い。そこで、漫画原作の実写化作品にまさかの登場を果たした、有名スポーツ選手たちについて見ていこう。

■大きく優しいその姿はまさにハマり役…『弟の夫』把瑠都凱斗

2014年から『月刊アクション』(双葉社)で連載された田亀源五郎さんの『弟の夫』は、シングルファーザーである男性と、彼の弟の“結婚相手”であったカナダ人の男性が織り成す、不思議な同居生活を描いた作品だ。

同性婚という難しいテーマに触れながら、国籍や人種も異なる男性同士が共同生活のなかで心を通わせ、さまざまな気付きを得ていくアットホームな作品に仕上がっている。

本作はその人気から2018年には実写ドラマ化され、主人公の折口弥一とその弟・涼二を、俳優の佐藤隆太さんが一人二役で演じることとなった。そして、この物語のキーパーソンであるカナダ人の男性・マイクに抜擢されたのが、大相撲の“把瑠都関”こと、把瑠都凱斗さんだ。

角界で培った把瑠都さんの大きな肉体は、ドラマのなかでも圧倒的な存在感を放っている。見た目もさることながら把瑠都さんは演技力も非常に高く、見事に演じ切ってみせた。

原作漫画から改変された部分も多い本作は、演者たちの卓越した演技力と素晴らしいドラマ構成によって、初めての視聴者はもちろん、原作ファンも納得がいく出来に仕上がっている。

大相撲で見せつけた力強い立ち回りから一変、包容力に溢れるおおらかな男性を熱演してみせた、意外なスポーツ選手である。

■瞬く間に退場した豪華な顔ぶれ…『デビルマン』KONISHIKI、ボブ・サップ

2004年に公開された映画『デビルマン』は、漫画家・永井豪さんの代表作を原作とした映画である。実写化不可能と言われたほどの強烈な絵面や難解なシーンを映画化するのはやはり困難だったらしく、公開後は賛否両論の意見が飛び交うこととなった知る人ぞ知る作品だ。

そんな本作には俳優だけでなく芸人や歌手、はてはなんと“原作者本人”までカメオ出演しており、出演者のラインナップは非常に豪華なものとなっている。そしてそのなかに、誰しもが知る有名スポーツ選手たちも名を連ねていた。

そのスポーツ選手とは、元大相撲力士として活躍しタレントとしても数多くの番組に出演しているKONISHIKIさん。そして、総合格闘技の世界で数々の強敵と激闘を繰り広げてきた、ボブ・サップさんだ。

どちらも格闘技の世界で躍進を遂げた有名人だが、本作ではあまりにも意外な役回りとして登場している。

まずKONISHIKIさんだが、敵側である“デーモン”陣営の一人として登場。しかし、登場するや否や「デーモン、万歳!」と叫び、そのまま無惨に射殺され退場してしまう。

ボブ・サップさんはというと、全国にデーモンの被害を伝えるニュースキャスターとして登場するが、やはりデーモンに肉体を乗っ取られてしまい、頭部が増殖するという凄まじい最期を見せつけた。

どちらもいわゆる“チョイ役”だが、そのあまりにも唐突な登場、そして退場っぷりに、驚かされた視聴者も多いのではないだろうか。

■本場の“格闘技”を活かした意外な配役…『るろうに剣心』須藤元気

2012年に公開された映画『るろうに剣心』は、『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された和月伸宏さんの大人気漫画を原作としている。

かつて“人斬り抜刀斎”と呼ばれ恐れられた剣士・緋村剣心を主人公に、彼と出会うさまざまな強敵との激闘を描いたアクション作品で、実写化としてはこれまでに5作品が公開され、いずれも大ヒットとなっている。

第1作となる本作では原作の“観柳邸突入”までが映像化されているのだが、本来は登場しない別時間軸のキャラクターたちも先んじて登場している。そのうちの一人が、観柳邸で剣心らを迎え撃った刺客の一人・戌亥番神だ。

原作では物語終盤に登場する戌亥だが、映画版では剣心らの前に立ちはだかり仲間の一人である相楽左之助と激しい肉弾戦を繰り広げた。

そんな戌亥を演じたのが、総合格闘家として活躍し、現在では政治家としても活動している須藤元気さんだ。須藤さんは格闘家としてはもちろん、数々のドラマや映画にも出演しており、歌手やパフォーマンスユニットを立ち上げるなど実にマルチな活躍を見せている。

格闘家時代から「変幻自在のトリックスター」、「騙し討ちのアーティスト」といった数々の異名を持っていた須藤さんだが、戌亥のアクションシーンでも当時培った格闘技のノウハウが存分に活かされている。

ちなみにこの戌亥、原作漫画版では傍若無人な自信家として描かれているのだが、映画版では菜食主義者のクリスチャンという設定が追加されており、どこか物腰柔らかなキャラクターに変貌していた。

原作のキャラクターからはかなり異なった味付けとなっているが、須藤さんが演じるオリジナルの戌亥番神像にぜひ注目してみてほしい。

それぞれのフィールドで活躍している“スポーツ選手”たちだが、映画では普段の競技とは異なる“演技”という分野で観客、もとい視聴者たちを盛り上げてくれる。

彼らが実写映画のなかで見せる“役者”としての新鮮な姿も、映画を盛り上げる要素の一つといえるだろう。

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