『ヤンマガ』有名キャラ集結、新社会人への“攻めた”応援メッセージが新聞をジャック 編集長が明かす掲載の想い

『ヤンマガ』人気キャラクターから新社会人への応援メッセージの数々 ※画像はヤングマガジン編集部公式X『@magazine_young』より

4月1日は入社日。新社会人は期待と不安が入り混じる中、新たな門出を迎えたことだろう。そんな同日、1980年創刊の漫画雑誌『週刊ヤングマガジン』(講談社)が、同誌の豪華キャラクター陣を起用して、新社会人向けとなる応援メッセージを朝日新聞を使って特別広告として掲載。2面を独占しての広告掲載のインパクトは強く、X(旧ツイッター)上でも《ヤンマガ広告面白すぎる》と話題を呼んだ。

「もしヤンマガキャラが先輩だったら?」という設定で、いかにもそのキャラクターが言いそうなセリフばかりが集まった新聞広告。『新宿スワン』(著・和久井健氏)の主人公、白鳥龍彦が「同高出身の先輩を探せ!すぐ仲良くなれるぜ!」とエールを送れば、『行け!稲中卓球部』(著・古谷実氏)の井沢ひろみは「しっかりホウレンソウしとけよーーーーあとは上司の責任でーーす!!」と実用的なアドバイスを送る。その一方で、中には不穏なセリフも。

『1日外出録ハンチョウ』(原作・萩原天晴氏、漫画・上原求氏、新井和也氏、協力:福本伸行氏)の大槻太郎は「リモートの日は…打刻だけしてベッドイン……!」と漏らし、『賭博黙示録カイジ』(著・福本伸行氏)の伊藤開司は「配属はギャンブルだ…ブラフを張れっ…!『この部署じゃなきゃ辞めます』と…!」と、油汗を額に滲ませながら話しかける。

他にも『ゴリラーマン40』(著・ハロルド作石氏)の池戸定治の様に「遅刻したら、ラスト10メートルだけはダッシュ…大切なのは『急いできた感』…」と社会人の極意を説くセリフも。

”社会人のリアル”を連想させるセリフにニヤリとした読者も多いだろう。ただ、実際にこの広告を真に受けた新入社員が、リモートワークの日に「打刻だけしてベッドイン」していたらアウトなはず。こうした“迷言”を広告の中に折り混ぜた背景には何があるのか――。

■「ちょっとヤンチャなアドバイス」に込めた想い

弊サイトは、『週刊ヤングマガジン』編集長・鈴木一司氏に話を聞いた。今回の新社会人向けの応援新聞広告を掲載の漫画キャラクターのセリフの数々は、広告代理店のクリエイティブチームが発案したとのこと。それを各作品の作家と担当編集者が監修したという。内容には、「ヤンマガらしさが反映されている」と、その企画意図を説明する。

「フレッシュな新社会人たちにはきっと、会社の先輩たちが期待を込めて沢山のアドバイスをくれることかと思います。しかし、そういった期待がプレッシャーになってしまう事もあるのではないでしょうか。そんな中で、ヤンマガらしい“ちょっとヤンチャなアドバイス”を見かけた時に、少しでも気持ちを楽にしていただけたらと思い、メッセージを掲出しました」(鈴木氏)

新社会人に向け、ギリギリを攻めた広告を掲載した裏には、「等身大」の姿を伝えたいという思いがあるそうだ。鈴木氏が続ける。

「イチ社会人として私自身も、仕事に対して善き姿勢でありたいと常々考えております。一方で、人間社会というものは決して品行方正な面だけではなく、複雑怪奇な面もあると感じます。決して押しつけるわけではありませんが、“そんな事を考えている大人が社会にいるんだ”と、これから社会へと飛び出す新社会人に知ってもらえたら、と思います」(前同)

そんな鈴木氏に、改めて新社会人への言葉をもらった。

「『ヤングマガジン』は強かで、自由で、力強いキャラクターたちが生まれてきた場所です。これから沢山のチャレンジをする新社会人の皆様にとって、“人生の相棒”となれたらこの上ない喜びです。皆様のご活躍をお祈り申し上げます」(同)

名言も迷言も、人気商売という荒波を力強く生き抜いてきた漫画キャラクターたちから出てきた声。社会の荒波に立ち向かおうとする新社会人の支えに、きっとなるはずだ。

© 株式会社双葉社