最新映画も公開目前…タカ&ユージがかっこよかった! ドラマ『あぶない刑事』名エピソード

(C)2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会

今年5月24日、新作映画『帰ってきた あぶない刑事(デカ)』で、あの伝説の最強バディ・“タカ&ユージ”コンビが帰ってくる。舘ひろしさん演じる鷹山敏樹(タカ)と柴田恭兵さん演じる大下勇次(ユージ)の活躍を描いた人気の刑事シリーズで、今回は8年ぶり、令和になってはじめての新作映画となる。

これを記念し、BS日テレでは本日4月3日よりシリーズ1作目となるテレビドラマ『あぶない刑事』を一挙放送するという。今回はテレビドラマ『あぶない刑事』のなかから、3つの名エピソードを紹介したい。

■“あぶ刑事”が凝縮された第1話「暴走」

1986年に放送された第1話「暴走」は、『あぶない刑事』のエッセンスが詰まった、非常にワクワクするエピソードだ。内容は、爆弾と改造拳銃を手に入れた19歳が気に障った人物を次々と襲っていく事件が発生し、鷹山と大下が大胆に解決していくというもの。まさに「“あぶ刑事”とはこういうドラマだ」と視聴者に示すような、ひな形回でもあった。

物語は、柴田さん演じる大下が逃げる犯人を追うカッコいい&コミカルなチェイスシーンからはじまり、浅野温子さん演じるざっくばらんな真山薫、仲村トオルさん演じるナンパな新人刑事・町田透、中条静夫さん演じる部下に振り回され続ける近藤課長など、第1話から港署メンバーのそれぞれの個性が爆発する。

最後はもちろん、舘さん演じる鷹山が得意のバイクで犯人を追い詰め、緊迫の銃撃戦の末犯人を逮捕していた。ちなみに、このときのバイクはスズキ・GSX250Eなのだが、その後の『あぶない刑事』、とくにテレビシリーズでも鷹山はスズキのバイクに乗っている印象が非常に強い。

これは放送当時、舘さんがスズキのCMに出演していたからだったそうで、逆に番組の車両提供は日産であったため、劇中で鷹山が車を運転することはなく常に大下らほかの刑事に任せていたという。また、運転までこなしてしまうような“なんでもできてしまうスーパー刑事になるのを避けるため”という意味合いもあったようだ。

この回は、ラストシーンのセリフも秀逸だ。「やっぱりお前 ただのデカマシーンだ。今日、日曜だぜ」という大下の言葉に、鷹山が「日曜はね お仕事する日なの」と返す。

これは本作の放送時間が日曜21時であったことを踏まえたメタ的な台詞であり、『あぶ刑事』らしいオシャレな掛け合いで、記念すべき第1話「暴走」は締めくくられている。

■刑事ドラマの常識を覆した第33話「生還」

2つ目は、中盤の名作「生還」を紹介したい。長崎・佐世保ロケでおこなわれたこの回は、鷹山大ピンチのエピソードだった。

捜査中、犯罪組織によって捕まってしまった鷹山。薬を打たれ遠く長崎まで運ばれてしまう。なんとか隙をついて組織から逃げ出すのだが、体はボロボロ、さらに執拗な追跡を受ける。

途中ブティックの経営者・藤城敬子によってかくまわれるも、まさに絶体絶命の大ピンチ。当時は“殉職ありき”の刑事ドラマが多く、目の肥えている視聴者ほど「タカが殉職するのでは!?」と、心配になるような展開が続いた。

しかし『あぶ刑事』は、そんな刑事ドラマの常識を覆す。大下が長崎に駆けつけ、鷹山は意識朦朧としながらも自らの力でなんとか回復。途中、恩人である敬子が拉致される展開もあったが、大下と町田の助けによりそれも無事救出する。

そして、敬子との別れではラブロマンス的なシーンも……。「男運がないわ いい男は必ず去ってく」という敬子に対し、「それはもっといい男が現れるってことさ」と、さすが“ダンディー鷹山”といった言葉を残していた。その後、鷹山と大下は横浜に戻り大暴れし、犯罪組織を壊滅させる。

大ピンチからの大逆転あり、ラブロマンスあり、港町長崎でのロケありと、第33話「生還」は見ごたえ十分の回だった。

■賛否両論巻き起こった最終回・第51話「悪夢」

最後は、パート1の最終回・第51話「悪夢」を紹介したい。その衝撃の結末に、放送終了後、賛否両論が巻き起こった伝説の回”だ。

物語冒頭、山中という1人の男が殺される。それを助けることができなかった港署に対して“白いコートの男”が恨みを抱き、大下をはじめ次々と警察官が襲われる。この回は「“白いコートの男”は何者か?」という、ミステリー展開が続いた。

物語中盤では、港署もライフルによる激しい襲撃を受ける。作中、コメディパートの舞台であることが多かった港署が犯人によってここまでメチャクチャにされてしまうのは、かなり珍しいことだった。

襲撃と逃走を繰り返し、クルーザーに乗って海に逃げようとする“白い服の男”。ここで鷹山は「逮捕はあきらめよう 退治するんだよ」と決意、それに「OK」と返す大下。『あぶ刑事』らしい、実にカッコいい掛け合いも見られた。

そしてコンビは岸から“白い服の男”を狙撃。撃たれた犯人が海へ転落……と思ったら、なんと犯人はスッと透明になり消えてしまう。それを見た鷹山と大下は呆然(もちろん当時の視聴者も同じだっただろう)。

つまり、“白いコートの男”は幽霊で、一連の襲撃事件の犯人は物語冒頭で殺された山中本人だったという衝撃の“幽霊オチ”だったのだ。

この刑事ドラマでありえないような結末に、放送終了後は賛否両論が巻き起こった。SNSがなかった当時、放送した日本テレビにはハガキや手紙が多く寄せられたという。しかし、印象に残るストーリーであったことも確かで、現在でもファンの間では“伝説の回”として語り継がれている。

今回は、ドラマ『あぶない刑事』の名エピソードを振り返ってきた。当初2クールの予定でスタートした『あぶない刑事』は、その人気により1年間に放送が延長。さらに、テレビドラマが終了した同年、すぐに映画化を果たし、1988年にはパート2である『もっとあぶない刑事』が放送された。

そして昭和、平成とたびたび映画化され、今回は令和初となる8年ぶりの新作映画『帰ってきた あぶない刑事』の公開が控えている。

3つの時代に渡って視聴者を楽しませ続けてきた名作『あぶない刑事』。今回の映画はどんな名シーンが見られるのだろうか。今から非常に楽しみである。

© 株式会社双葉社