朝食が大切なワケ 忙しいときは“コンビニ食”でもOK 摂るべき栄養のポイントとは

一日のスタートに大切な朝食(写真はイメージ)【写真:写真AC】

新生活が始まり、朝は準備に慌ただしく時間が足りないこともあるでしょう。しかし、そうしたなかでも、朝食を取ることは大切です。快適に一日のスタートを切るために、どんなことを心がけたら良いでしょうか。時間がなくてもこれだけは押さえておきたい、朝食に必要な栄養やポイントなどを、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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朝食が必要な3つの理由

そもそもなぜ朝食を取る必要があるのでしょうか。3つの理由を説明しましょう。一つ目は、エネルギーをチャージするためです。私たちの体では、寝ている間も常にエネルギーが使われており、起床時は体内のエネルギーが枯渇している状態です。朝食で日中の活動に使われるエネルギーを補給する必要があります。

二つ目は、体温を上げるためです。朝食を取ることで体温を上げ、脳や体を起こして、活動しやすい状態にします。胃腸をはじめ内臓が活性化することで、代謝もアップ。副交感神経と交感神経の自律神経のスイッチが切り替わり、よりエネルギー代謝が良くなります。

三つ目は、体内リズムを整えるためです。一日は24時間であるのに、生理的周期は25時間といわれています。そのため毎日、24時間にリセットする必要があります。その因子のひとつが朝食を取ることなのです。太陽が昇る日中は活動的に、沈んだら休息をといった体内リズムは、人間が健康に過ごすために欠かせません。また、睡眠の質にもつながります。快適なリズムを身につけるためにも、毎朝、朝食を食べる習慣をつけましょう。

朝食を抜くと空腹状態が長く続くことになり、昼食などを必要以上に食べすぎてしまう傾向が。すると、血糖値が急激に上昇。インスリンが過剰に分泌されると、脂肪を溜め込みやすくなり、肥満につながることもあります。朝食を取ることは、一日の快適な始まりのためにも、長期的な健康のためにも大切です。

朝に摂取したい「炭水化物」「たんぱく質」「ビタミン」「ミネラル」

朝にこそ積極的に摂取しておきたい栄養素は、「炭水化物」「たんぱく質」「ビタミン」「ミネラル」です。朝の炭水化物はエネルギーの補給に、たんぱく質は体のあらゆる細胞を作る手助けに、ビタミンやミネラルは代謝の補酵素として働き、体の調子を整えます。

自炊する人は、炭水化物を主成分とするごはんやパンを主食に、主菜にはたんぱく質を主成分とした肉や魚、卵、納豆などの大豆製品を。乾物のワカメやキクラゲを副菜とし、野菜を加えた具だくさんのみそ汁やスープもつけると、ビタミンやミネラルが摂れます。フルーツを合わせるとさらに良いでしょう。また、牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品からは、不足しがちなカルシウムを手軽に摂取できます。

朝食を作る時間がない、作るのが面倒だと感じる場合は、“コンビニ食”を活用しましょう。「炭水化物」「たんぱく質」「ビタミン」「ミネラル」の4つの栄養素を意識して選んでください。たとえば、菓子パンではなくツナや卵の具材が入ったサンドイッチ、梅ではなくサケのおにぎりのほうが、栄養価が高くなります。

もし朝、お腹がすいてなくて食べられない場合は、コップ1杯の牛乳だけでも飲みましょう。そして、夕食時間や食事内容を見直してみてください。夜に食べる時間が遅かったり、量が多かったりすると、朝起きたときに空腹を感じず、食欲が沸きません。

春は、慣れない新生活でペースが乱れがちです。忙しいなかでも、栄養を押さえた朝食を取る工夫をして、元気に乗り切りましょう。

和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。

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