【漫画】会社を辞めさせてくれる「退職代行」あなたは利用したい? 辞めたい理由盛り沢山のSNS漫画が熱い

退職の意思を自分の代わりに職場に伝え、面倒なやり取りを全て任せることができる「退職代行サービス」があったら、利用したい人はどれくらいいるだろうか。3月中旬にXに投稿されたオリジナル漫画『退職代行ヘビーユーザーゆかり』では、そんな「退職代行」を軸に、カオスなバトルが展開されるユニークな作品だ。

“辞めぐせ”がひどく、事あるごとに退職代行を利用しているゆかり。仕事が長続きしないことに加え、退職代行の乱用のために貯金は底をつこうとしている。ピンチを迎えたゆかりの前に退職代行業者のスカウトが姿を現し、正社員として働くことをオファーする――。

本作を手掛けたのは、数年前から同人小説を描き始め、挿絵を自作するために絵を描くようになったというかろてんさん(@carotene4035)。本作は漫画歴1ヶ月ほどの時期に描いたもので、現在は担当編集者もつき、プロの漫画家を目指しているそうだ。“退職”という人生の転機をエンタメに昇華させた本作の誕生秘話など話を聞いた。(望月悠木)

■自身も退職したかった

――まず『退職代行ヘビーユーザーゆかり』を制作した背景を教えてください。

かろてん:当時はものすごく退職したかったのですが、その勇気もなく「誰かに辞めさせてほしい」と思っていました。そこで“仕事を辞めさせること”を生業とするキャラを作り、そのキャラに作中で成長してもらい、最終的に私も辞めさせてもらおうと思ったことがキッカケです。

――どのように設定やストーリーを作っていったのですか?

かろてん:設定自体は“死神”から着想を得ました。「命の代わりに職を奪う死神がいてもいいかな」と思ったのかもしれません。そんな死神が問答無用でバッサバッサと人の職を奪っていく。死神は恨まれるかもしれないし、死神に救われる人もいるかもしれない。「そんな世界があったら良いな」と思いながらストーリーを膨らませていきました。

――「エース」という言葉に簡単に高揚するなど、ゆかりの単純な性格が面白かったです。同時に「調子に乗りやすい=調子にいくらでも左右される」と言える部分もあるため、ゆかりがすぐに仕事を辞めてしまう理由も何となく頷けました。

かろてん:まずゆかりの性格は「働きたくない」という気持ちを詰め込んでいるうちに出来上がっていきました。具体的には「仕事をすぐ辞める人ってどんな人なんだろう」と考え、「ストレスに弱くて自己愛が強い子かもしれない」と思ってそのまま描いたらあんな性格の人になってしまいました。

――急なバトル展開に驚愕する声がSNSで散見されました。

かろてん:気がついたらバトルが始まっていました。「なんとかして辞めさせたい」「絶対に辞めたくない」という互いの強い気持ちがぶつかった結果、バトルが始まったのだと思っています。

――続きが気になる終わり方でした。続編の予定はあるのですか?

かろてん:続編の制作していません。ただ、とても好きな作品なので、リメイクして読み切りを制作するなど、連載を再開させたいとは考えています。

――最後にこれからの漫画制作における展望を教えてください。

かろてん:『退職代行ヘビーユーザーゆかり』の後に描いた『退職バトル』という作品で「ヤンマガ×DAYS NEO ネームで即デビュー!」の佳作を受賞でき、担当編集がつきました。今は商業漫画家を目指して、新しい読み切り漫画の原稿を描いています。直近の目標は新人賞を取ること、少し先の目標は「読んだ人が全員退職してしまうような漫画」を商業で連載して、失業率をグッと上げることです。待っていてください。

(望月悠木)

© 株式会社blueprint