【4月3日付社説】能登地震3カ月/被災者の生活再建後押しを

 能登半島地震から3カ月がたった。多くの人の力を結集し、被災者の生活再建と、地域の復旧復興を加速させる必要がある。

 石川県では2日時点で約7500人が避難生活を送っており、住まいの確保は進んでいない。珠洲市など4市町の約6700戸では断水が続いている。

 共同通信が3月下旬に被災者を対象に行った調査で「今、一番困っていることは何か」との質問に、断水を挙げた人が最も多かった。「人間的な生活を送れる状況ではない」との回答もあった。

 政府は1月下旬にまとめた支援策に水道の早期復旧を盛り込んだが、今も多くの被災者が不自由な生活を強いられている。本復旧には時間がかかる。代替の給水設備を導入するなどして被災者の負担を減らすことが急務だ。

 石川県によると、これまでに約3万4千人がボランティア登録し、延べ約1万2千人が活動した。しかし、3カ月で延べ約10万人が活動した2016年の熊本地震に比べ、大幅に少ない。

 馳浩知事は当初、緊急車両などの通行を確保するため、個人ボランティアらの被災地入りを控えるよう呼びかけた。この時の自粛イメージの定着に加え、支援ニーズの把握や派遣調整に時間を要したことなどが、活動が低調な要因として指摘されている。

 復旧の加速化にはボランティアの力が不可欠だ。石川県には、自粛イメージを払拭する強いメッセージの発信が求められる。

 この3カ月で交通規制の解除や宿泊拠点となるテント村の開設が進むなど、ボランティアが活動しやすい環境が徐々に整ってきた。被災市町の受け入れ態勢の充実や、避難者が地元に戻る動きの拡大などに伴い、今後、支援ニーズが増加する見通しだ。

 一般のボランティアは今からでも現地に入り、被災者の生活再建を後押ししてほしい。

 石川県は「創造的復興」の実現に向けたプラン策定の議論を始めた。単なる復旧にとどめず、自然と共生する能登の魅力を守り、能登ブランドを一層高めることなどを基本的な考え方に据えている。9年間の計画の中で、どう被災地の暮らしやコミュニティー、なりわいなどを再建していくのか、目標時期を定めて示す。

 能登が目指す将来像を時間軸に沿って示すことは、被災者が生活再建の展望を描いていくために欠かせない。多くの人と復興プランを共有できるよう、石川県は被災者との対話を重ね、意見をくみ上げていくことが大切となる。

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