“春の妖精”カタクリ開花 真庭と美作の群生地

日当たりの良い場所から開花が進むカタクリ=美作市三倉田

 山里を彩るかれんな姿から“春の妖精”と呼ばれるカタクリが、真庭市と美作市の群生地で開花した。いずれも住民が手厚く手入れを続けており、日当たりの良い場所から少しずつ広がって斜面を紫色に染め上げる。

美作

 美作市三倉田の群生地約10アールでは、3月27日に初めて花が確認され、最高気温が20度を超えた29日から一気に開花が進んだ。

 林野高から600メートルほど南の幕谷地区にあり、有志の保存会が草刈りや遊歩道整備に取り組む。一時はシカやイノシシに荒らされたが、防護柵を取り付け、以前に近い姿まで回復しつつある。

 高齢化で会員が少なくなり、今年は土、日曜限定で4月14日まで午前10時~午後4時に開放する。入場無料。

 須田紀秋会長(80)は「限られた日数だが、きれいな花を多くの人に見てもらいたい」と呼びかける。

 同市ではカタクリが各地に自生。花びら、がくの計6枚が合併した6町村を象徴するとして市の花に指定されている。

真庭

 真庭市佐引地区では、県天然記念物・醍醐(だいご)桜に向かう市道沿いの約20アールに群生。日差しを受けると花びらが反り返り、桜のような模様が現れる。かれんな姿を目当てに市外からも愛好家が訪れる。

 住民グループ・佐引カタクリ保存会が急斜面を登って草刈りするなど手入れ。今年結成30周年を迎えた記念にカタクリの花言葉「初恋」にちなんだハート形の杉の輪ゲートも群生地に設置した。

 中山俶槻会長(79)は、地域の愛を受けて育つ薄紫色の花を見つめて「高齢化しているが、活動を続けていきたい」と話す。見頃は7日ごろまで。晴れの日の午前10時以降に花の反り返りが楽しめる。

見頃を迎えたカタクリと中山会長=真庭市佐引地区

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