中国吉林省で「新たな質の生産力」加速、従来型産業の高度化進む

中国吉林省で「新たな質の生産力」加速、従来型産業の高度化進む

吉林省通用機械(集団)のホイール生産ラインで稼働するロボットアーム。(資料写真、長春=新華社配信)

 【新華社長春4月3日】中国の工業生産を古くから支えてきた吉林省で、従来型産業の高度化が進んでいる。吉林市にある化学繊維メーカー吉林化繊集団の生産現場では、雪のように白い繊維の束が生産ラインを経て、新素材の炭素繊維に生まれ変わっていた。

 同省は「製造のスマート化」と「デジタルとリアルの融合」に向けた新たな道を探り、従来型産業の質と効率の向上を促進。「新たな質の生産力」(科学技術イノベーションが主導し、質の高い発展を促す生産力)の形成を加速させている。

 省都の長春市にある自動車部品メーカー吉林省通用機械(集団)の工場では、自動化された生産ラインが高速で稼働し、ロボットアームが指示に従って作業をこなす。生産現場は活気にあふれていた。

 同社は自動車部品の軽量化に向けた研究開発に取り組む。「デジタル化・スマート製造」プロジェクトを進め、スマート製造システムを開発して、生産性向上とコスト削減を実現してきた。李吉宝(り・きつほう)董事長は「ホイール生産ラインを例に挙げると、製品1点当たりの加工時間は従来の2分から18秒に短縮し、オペレーターの数も8人から2人に減った」と語った。

中国吉林省で「新たな質の生産力」加速、従来型産業の高度化進む

長春博立電子科技と一汽「紅旗」の工場が共同で開発した自動車生産ライン用自動検査装置。(2月22日撮影、長春=新華社記者/孟含琪)

 人工知能(AI)技術の活用が、従来型産業の高度化に新たな機会をもたらしている。

 中国の自動車大手、中国第一汽車集団の高級車ブランド「紅旗」を生産する長春の工場では、塗装ロボットアームが滑らかな動きでシール部品を取り付けていた。作業が終わると、近くの自動検査装置が素早くスキャンし、ひずみがあると直ちに音と光でアラームを発する。全工程がスマート化され、円滑かつ効率的に進んでいく。

 電子製品の開発を手がける長春博立電子科技がシステムを共同開発した。張立華(ちょう・りつか)董事長は「AIの高度な動画解析技術が従来型の自動車工場で活用され、デジタルとリアルの融合による変革を実現させた」と話した。

 吉林省は新技術、新要素、新モデルを活用し、従来型産業の高度化とスマート化を進める。今年も製造業のスマート化とデジタル化を深く実施し、省内の製造業企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)導入率を50%に引き上げ、製造業の質の高い発展を支えていく。(記者/孟含琪、胡戈)

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