林道国見山線13年ぶり再開通 福島県南相馬市原町区 展望台や多目的広場リニューアル

林道の再開通に合わせてリニューアルされた展望台

 福島県南相馬市原町区で古くから地元のシンボルとして愛されている国見山(564メートル)の中腹を通る林道国見山線(総延長7.6キロ)は1日、13年ぶりに再開通した。東京電力福島第1原発事故発生前は中腹からの景色を楽しむ住民や登山客らでにぎわっていた。市は林道沿いの展望台や多目的広場をリニューアルし、観光名所として発信を強化する。2日、門馬和夫市長が記者会見して発表した。

 市内西部に位置する国見山は地元の小中学校などの校歌に登場する。原発事故発生前、児童・生徒が学校行事で登ったり、多くの登山客が訪れたりしていた。林道は除染作業などで立ち入れず、2019年10月の台風19号で斜面が崩れ、復旧工事が進められていた。展望台や多目的広場は管理されず、建物が雨風などで劣化していた。周辺の登山道も手入れできず、市は入山を推奨していなかった。

 林道の復旧に伴い、展望台のデッキや休憩所を建て直した。多目的広場に人工芝を植え、登山道の老朽化した階段の修繕なども行い、登山客が安心して登れるよう整備した。

 5月上旬に多目的広場で記念式典を予定している。市の担当者によると、観光名所として盛り上げるため、市内の学校に通う子どもたちが参加するイベントの開催なども検討しているという。

 門馬市長は「国見山は市民の心のよりどころ。気軽に足を運べる日常が戻ってきた」と喜んでいる。

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