大手企業の賃上げ報道に沸くも中小企業は賃上げの原資なし…全体の3割の企業が賃上げ予定なし

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「FLAG NEWS」のコーナーでは、今年の春闘から見る賃上げの現状について取り上げました。

◆自動車メーカーなどの賃上げは50年ぶりの高水準

自動車メーカーなどの労働組合で作る「自動車総連」は3月20日、今年の春闘交渉が実質的に決着した186組合の賃上げ額は平均1万3,896円と発表。これは去年を4,067円上回り、1974年以来50年ぶりの高水準となりました。

また、自動車総連の7割を占める300人未満の中小組合は1万2,211円の賃上げで、比較可能な1995年以降最高額に。

モデルでタレントの藤井サチさんは、賃上げ報道については「いいニュース」、「いい流れ」と喜びつつも、それがどこまで中小企業に波及するのかを憂慮。「政府は(企業に対し)価格転嫁するよう打ち出しているけど、(そのやり方は)もう少し工夫できると思う。例えば、価格転嫁したところには減税をするとか、そういったことが効果的なのでは」と政府に善処するよう求めます。

紛争問題を研究する東大院生の阿部将貴さんも、中小企業の賃上げに対する政府の施策を注視。「賃上げしたら控除の割合が増える『賃上げ促進税制』で中小企業をサポートしているが、黒字の企業はいい。ただ、中小企業は大企業に比べると、赤字決算の企業が多い。赤字企業は控除が増えたところで収める税金がないので『賃上げ促進税制』を使う意味がない。そういった赤字企業にどうアプローチしていくかが今後の課題」と指摘します。

◆大企業に対し、中小企業の3割は賃上げ予定なし

城南信用金庫などが今年3月に中小企業に対して行った調査によると、「賃上げ予定」とした企業は約36%。対して「まだ決めていない」が約33%、「賃上げ予定なし」は約31%でした。賃上げしない理由としては「賃上げの原資がない」が73%で、原材料費の高騰などが影響していると思われます。今年の春闘では大企業が軒並み満額回答でしたが、中小企業の経営状況は依然として厳しい状態が続いています。

ドイツ公共放送プロデューサーのマライ・メントラインさんは、「中小企業の賃上げが実施されないと(経済的に)いいサイクルには入れないんじゃないか」と危惧します。

この日、体調不良のため欠席となったキャスターの堀潤の代演としてMCをつとめるキャスターの荘口彰久さんは、今後、賃金上昇がインフレを上回ったとしても、そうした状況を受けて政府が増税をするのではないかと案じます。

これに藤井さんも「社会保険も上がる見込みなので、そうなると手取りは結局変わらないのではないか」と共感していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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