松田聖子さん「中央大学法学部通信教育課程」卒業で話題 同校OB弁護士「相当努力された」絶賛のワケ

「中央大学法学部通信教育課程」を卒業した松田聖子さん(写真:ロケットパンチ)

歌手の松田聖子さんが「中央大学法学部通信教育課程」を卒業したことが先月24日に判明した。X上では、「中央大学法学部通信教育課程」がトレンド入りし、卒業を祝福するコメントのほか「背中を押される」「忙しいも年齢も言い訳にできないな」など聖子さんに触発されたコメントも多く見られた。

同通信教育課程を卒業した渡邊賢一弁護士も聖子さんの“偉業”について、「芸能界のお仕事がお忙しい中、しっかりと勉強もされて本当にすごいです」と絶賛した。

聖子さん「4年で卒業」は“早い”

「中大通教(ちゅうだいつうきょう)」とも略される「中央大学法学部通信教育課程」を擁する中央大学は、1885年の前身校(英吉利法律学校)開校時から労働者や地方在住者のために講義録で科目を修める「校外生制度」を導入。通信教育機関として日本でもっとも長い歴史を持つ大学のひとつで、現在も通信教育課程で学ぶ人のうち80%以上が社会人だ。

学歴によって卒業までにかかる年数は変化するが、原則として大卒の人では最短で2年、高卒の人は最短で4年かかる。これまで堀越学園高校卒業が最終学歴だった聖子さんは、最短の4年間で卒業したことになる。

前出の渡邊弁護士は、「お忙しい中4年での卒業は早く、相当努力されたと思います」と驚く。

松田聖子さんは卒業式にも参加したという(中央大学法学部通信教育課程Facebookページより)

通信教育は「時間のやりくり」が肝

渡邊弁護士も、大学卒業後、地方公務員として働きながら中大通教に編入学し、最短の2年間で卒業した。最短期間での卒業には、日々の時間のやりくりが肝だったとしてこう話す。

「通信教育課程は基本的にレポート作成がメインです。私の場合、昼間は仕事、夜は洗い物などの家事や育児がありましたので、昼休みや夜に1時間ぐらいずつコツコツとレポート作成をしていました。

4単位の科目であれば、レポートを4つ提出して4つとも合格しないと試験が受けられません。最後の試験に合格して、やっと単位が取れるので、やはり相当ちゃんと勉強しないと、なかなか前に進まない。そのため挫折する人も多いです」

通信教育はほとんど在宅で学べるが、一部科目はスクーリングという対面の講義を受ける必要があったといい、「中央大学多摩キャンパスまで行くなどして、実際に他の生徒と一緒に講義を受けたこともあります」と振り返る。

「私のように司法試験を目指している人はむしろ少数派のようで、本当に幅広い年齢層の方々がいました。生涯学習として講義を受けているご様子の方が多かったのも印象的でした」(渡邊弁護士)

通信教育は「孤独な戦い」

働きながらでも法律を学ぶことのできる通信教育課程は、中央大学のほか、慶応大学、法政大学、日本大学などでも開設されている。

渡邊弁護士は、一度社会で働いてからの学び直し(リカレント教育)は、学生時代の学習よりも効率的だったという。

「社会に出て問題意識を持ち、目的を持って勉強するようになると、それだけやはり身に付くんです」

その上で、通信教育を受けるには「やろうとしている勉強に興味があること」が何より大切だという。

「中大通教であれば、やはり『法律』が好きな人、興味がある人が向いていると思います。通信教育は孤独な戦いです。一人でレポートを1枚1枚コツコツ作成していく。勉強していることが好きじゃないとなかなか続かない…。でも裏を返せば、それが好き、興味があるという人にとっては面白いし、すごく勉強になると思います」

聖子さんが法律を学んだワケ

聖子さんはなぜ「法律」に興味を持ち、中大通教で学んだのか。理由について所属事務所に問い合わせたが、「申し訳ありませんが、現時点では先日の発表以外でお伝えさせていただけることはございません」とその真意を知ることはできなかった。

ただ、芸能人が法律を学ぶメリットについて、渡邊弁護士は次のように話す。

「きっと芸能界でもいろんな契約があると思います。そういう場面で『あれ?この契約なんかおかしいんじゃないか?』と感じる時もあると思うんですよね。法律の考え方を知っていれば、違和感に気がつきやすくなりますし、対処もできます。

そもそも法律は社会のルールですから、その知識は、芸能界に限らず、どんな世界で生きていくにも役に立つのではないかと思います」

デビュー40年を迎えてから、法律を学んだ聖子さん。「何かを始めるのに遅すぎることはない」と行動で示してファンの背中を押す彼女の姿勢は、まさにアイドルのかがみといえるだろう。

ちなみに聖子さんは4月1日に、デビュー45周年に向けたコンサートツアーの開催を発表した。歌手としてもさらなる挑戦を続ける聖子さんから今後も目が離せない。

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