【体操】エース宮田笙子がパリ五輪団体総合への決意を激白「安定感がメダルへの一番の近道」

宮田笙子は「みんなを引っ張りたい」とエースとしての決意を述べた

新たな歴史をつくれるか――。体操女子日本代表でエースとして活躍が期待される宮田笙子(19=順大)が単独インタビューに応じ、大黒柱の自覚をにじませた。2023年世界選手権では、24年パリ五輪団体総合の出場枠獲得に大きく貢献した。女子日本代表が五輪の団体総合でメダルを手にしたのは、1964年東京大会が最後。パリ五輪の代表選考会(4月=全日本個人総合選手権、5月=NHK杯)を前に、大舞台にかける思いを明かした。

――東京五輪後は村上茉愛氏が引退するなど、女子日本代表のメンバーは大きく入れ替わった

宮田 初めて代表に入った22年が世代交代のタイミングだったので、高校3年生の時からエースという言葉をかけられてきたが、別にプレッシャーと考えたことはない。エースらしい演技をしたいとの思いが強かった。茉愛さんはもちろん、全員が尊敬できるけど、自分は自分だと思っている面もある。何事も違うところはあるので、引き継ぐというよりも、自分らしさをどれだけ表現できるかが大事だと思っています。

――体全体を使った表現力が持ち味の一つだ

宮田 体操は個性を出せるからいい競技だし、例えば平均台は表現力を生かせる一つの場所だと思っている。床だったらこの音にはこんな表情やポーズが合うというのをパッと思いつくタイプ。曲が流れていたら、勝手に振りが出てくる方なので、その感覚を出していきたい。自信は表情に出るし、行動にも出るので、日本代表にふさわしいと思ってもらえるオーラを出していきたいです。

――エースとしての責任感は人一倍強い

宮田 自分が自信を持って演技をしないとみんなも不安になるというのは、高校3年生のころに感じていた。周りに「何かやってくれるだろう」と思われるのは嫌ではなくて、その気持ちに応えたいとの思いでやっている。周りに頼ってほしい思いもあるし、自信があればみんなを引っ張っていくことができると考えています。

――23年2月に疲労骨折が判明した右かかとの回復具合は

宮田 練習などで着地が良くなかった時が何度かあったので、左足も骨挫傷という状態にもなっているが、ある程度は練習できている。正直、足の後ろの部分にある三角骨が大きくて、引っかかって痛い時もある。手術で取り除く選手もいるけど、代表選考会が近いので、今は手術をせずに耐えようと思っている。疲労骨折は本当に痛くて、昨季は試合までの調整も本当に難しかったので、それに比べたら今は気持ちがすごい楽。まずは4月に全日本個人総合選手権があるので、ケガに気をつけたいです。

――ケガと付き合いながらの練習は大変では

宮田 できる限りの治療を受けたり、ケアも自分でできることはしたい。気持ち的には痛くてもできている感覚があるというか、みんなよりも痛みに強い自信はある(笑い)。本当に痛くなっても、歩ける限りはできると思っている。気持ちの部分が大きいし、結局は気持ちで負けないことですからね。

――しばらくは鯖江を拠点に練習を行う

宮田 パリ五輪までは鯖江だと思う。1か月に1回程度の日本代表合宿のタイミングで東京に来た時にケガの治療も受けるので、鯖江に帰る前に順大に寄ることはあるかな。でも、基本的にはパリ五輪が終わるまでは鯖江で田野辺(満)先生に見てもらう予定です。

――パリ五輪の選考会はどんな位置づけか

宮田 どうなるかわからない部分もあるが、私が日本に必要だというところを見せるのが一番大事。エースにふさわしいと思ってもらいたいし、エースとして五輪でみんなを引っ張りたい。日本の課題である床の着地姿勢は、余裕を持った着地姿勢かつスコアを伸ばせるようになってきた。まだまだだけど、本当に小さいミスを減らすこととEスコア(出来栄え点)の部分を気にして練習をして、悔いの残らない演技をしたいです。

――パリ五輪の目標は

宮田 団体戦のメンバーに誰が入るかわからないが、一番の明確な目標は「メダル」とみんなで話している。金、銀のチーム(米国などの強豪国)との差はあるかもしれないが、近年の国際大会での銅は安定した成績のチームが取っている印象がある。我慢大会というか、落ちない、失敗しない安定感がメダルへの一番の近道だと考えている。自分が「ここでミスしなければ表彰台に上がれたな」と思いたくないし、みんなもそう感じていると思うので、自分が率先して失敗しないようにしたいです。

☆みやた・しょうこ 2004年9月21日生まれ。京都府出身。兄の影響で4歳のころに体操を始める。福井・鯖江高の田野辺満監督に師事するため、中学3年の秋に鯖江市中央中へ転校。鯖江高進学後は2、3年時に全国高校総体(インターハイ)の個人総合で連覇を果たした。22年NHK杯で初優勝すると、同年世界選手権の平均台で銅メダルを獲得。23年2月に右かかとの疲労骨折が判明するも、同年NHK杯を制覇。パリ五輪ではエースとしての活躍が期待される。151・5センチ。

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