TDB景気動向調査(全国)― 2024年3月調査 ― 国内景気は、3カ月ぶりに改善

業界別:10業界中8業界で改善、新年度を控え個人消費が景気を押し上げ  インバウンド需要のほか、春休みを迎え「旅館・ホテル」など個人消費関連の業種が上向き10業界中8業界が改善した。また卒業や異動など新年度に向けた季節需要も押し上げ要因だった。  他方、金利の引き上げや仕入単価の高止まりなどを不安視する声も多い。

規模別:5カ月ぶりに全規模が改善、「中小企業」は飲食料品関連が押し上げ  「大企業」「中小企業」「小規模企業」が5カ月ぶりにそろって改善した。株価の上昇が投資にプラス材料となったほか、インバウンドや旅行・引っ越し関連も押し上げ要因だった。

地域別:10地域中9地域が改善、各地の観光産業が好調  『北陸』『南関東』『東北』など10地域中9地域が改善、1地域が悪化となった。29都道府県が改善した。能登半島地震からの復興が行われるなか、各地の旅行・観光産業は好調。  一方で、被災地域からの部品供給の遅れや、春物需要の先延ばしなどは下押し要因だった。

< 今後の見通し : 緩やかに持ち直し >  今後は、金融政策における金利引き上げの時期や規模などが注目される。また、賃上げやボーナスの増加、減税などによる個人消費の行方が景気回復のカギとなろう。プラス材料として、消費者の実質賃金の上昇やインバウンド需要の拡大、生成AIの発展・普及にともなう生産性を向上させる設備投資の実行があげられる。  他方、人手不足や2024年問題への対応、為替レートや海外経済の動向などは注視が必要である。今後の景気は、金利の動きが注目されるなか、個人消費を中心として緩やかに持ち直していくと見込まれる。

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