国重文土器、地震で欠ける 是川縄文館(青森・八戸市) 台から転倒、逆さに

高さ約30センチの台から転倒。逆さまになり、口縁の突起1カ所が欠損(赤線囲み部分)した深鉢形土器

 青森県の八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館は2日、同日未明の地震で、展示していた風張1遺跡(縄文後期)出土品のうち、国重要文化財の深鉢形土器1点が台から転倒し、縁の一部が欠損したと明らかにした。

 午前4時45分、地震による被害状況を確認していた職員が発見。同25分に転倒したことがカメラに記録されていたという。

 土器は高さ約32センチ。常設展示室内の空気が入れ替わりにくい「エアタイトケース」と呼ばれるケース内で展示していた。底が平らで安定しており、内部に鉛の入ったおもり袋を入れ、口縁(こうえん)の部分を上にして高さ約30センチの台に立たせていた。

 地震で前方に倒れ、逆さの状態となった。山形波状口縁の5カ所の突起のうち1カ所が折れて割れたほか、割れた際に細かな破片が三つ確認された。2011年7月の開館時からこの状態で展示してきたが、過去の地震で倒れるなどの被害はなかったという。欠損したことを受け、縄文館はこの土器を展示室から特別収蔵庫へ移動させた。

 同館では、風張1遺跡の出土品663点を含む計1626点の国重要文化財を収蔵している。間砂織副館長は「本当に残念。今後は文化庁の指示を受けながら適切に対応していきたい」と話した。

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