不漁続くサケに代わる収入源を 「青い森紅サーモン」を試験養殖 野辺地川漁協(青森県)

順調に成長している「青い森紅サーモン」=3月27日、野辺地町

 青森県野辺地町の野辺地川漁協(佐藤淳二組合長)は新事業として、県内初の淡水養殖用の大型ニジマス「青い森紅(くれない)サーモン」などの試験養殖に取り組んでいる。県内の河川では近年、サケの不漁が続いており、人工ふ化事業で苦労する中、同漁協は養殖事業が新たな収入源につながることを期待している。

 「青い森紅サーモン」は青森産技センター内水面研究所(十和田市)が15年かけて開発し、2020年にデビュー。野辺地川漁協は22年度から、稚魚の目玉が外側から確認できる段階になった「発眼卵」を同研究所から千粒入手してふ化させ、かつて漁協が運営していた釣り堀施設「フィッシングパークのへじ」の池で育てている。成魚になるまで4年かかるが、同研究所の指導を受けながら組合員が朝と夕に餌を与え、現在は20~25センチに成長。あと2年間順調に育ち、出荷できれば養殖事業を本格化させる。

 昨年夏にはドナルドソンニジマスの発眼卵1万8千粒、今冬には「青い森紅サーモン」の発眼卵3万粒もさらに購入してふ化させ、育てているという。

 同漁協は遊漁券販売と春のシロウオ漁、サケの人工ふ化事業で収入を得ている。しかし、以前は1晩平均200~300匹の漁獲があったサケが、23年度は2月末現在で74匹と不漁が続く。22年度からはサケの卵を北海道から購入し、ふ化事業を続けている。

 佐藤組合長は「サケに頼っていては事業を続けられないほど厳しい。青い森紅サーモンはおいしいサーモン。出荷できる段階までこぎ着け、漁協の収入に貢献してくれるようになってくれれば」と語った。

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