「古生代前期デボン紀の東北地方には草原が広がっていた」研究者も注目の岩手・大船渡市の地層で日本最古の植物化石を発見

岩手県大船渡市に広がる古生代前期デボン紀と呼ばれる古い時代の地層から、国内最古の植物化石が発見されました。大船渡市はこれまでも古生代に関する発見が相次いでいて研究者から注目されています。

国内最古の植物化石が見つかったのは、大船渡市日頃市町にある4億1千万年前から3億9千万年前までの古生代前期デボン紀の中里層と呼ばれる地層です。見つかったのは複数の植物の胞子の化石で、電子顕微鏡で観察したところゼニゴケの仲間やシダ植物や種子植物の祖先にあたる植物の化石であることが分かりました。

見つかった化石の研究の中心となったのが、静岡大学理学部のルグラン・ジュリアン助教です。中里層で採集した岩石を1か月かけてすりつぶし作ったプレパラート上の黒い粒の中から化石が見つかりました。

(ルグラン・ジュリアン助教・静岡大学理学部)
「(普通は)石を割ってパッと化石が出たときに喜ぶんですけど、胞子とか微化石の場合は見えませんので、採集しても『入っているかな』という感じですね。プレパラートの中に初めて観察したときにたくさんの胞子が見えて本当に驚きました。」

今回の植物化石の発見で分かったこととは・・・。

(ルグラン・ジュリアン助教・静岡大学理学部)
「当時の東北地方、特に岩手県にはゼニゴケの仲間、現在生きているシダ植物とか種子植物の祖先で原始的な維管束植物の草原が広がっていることが分かりました。」

今後は中里層より古い地層や新しい地層で調査をすることで、国内での植物の初期進化を明らかにしたい考えです。大船渡市では古生代を構成する6つの時代全ての地層を見ることができます。

(ルグラン・ジュリアン助教・静岡大学理学部)
「大船渡は食べ物もおいしいし、山も調査するときにきれいで良い場所だから、また調査ができるので楽しみにしています。」

大船渡市立博物館の古澤明輝主任学芸員は、古生代を研究するため茨城県から大船渡市に移り住みました。今回の発見が多くの人にとって地質に興味を持つきっかけになればと期待を寄せています。

(大船渡市立博物館・古澤明輝主任学芸員)
「(中里層は)化石が残りやすい土壌がそのまま残って現在にまで運ばれてきたのがあると思います。全然、自分が見たこともない知らない化石が出てくる可能性が十分ありますので、そういう研究をやるうえでも大船渡は面白い地域だと思います。」

国内最古の植物が発見されたことでさらに注目を浴びそうな大船渡の地層。大船渡市立博物館も地質観察会などのイベントで広くアピールしていくことにしています。

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