【CDJインタビュー】町あかりの歌謡曲・春夏秋冬 春のテーマは「ディスコ」!

きわめて独創的なシンガー・ソングライターであると同時に、楽曲提供、漫画イラスト、書籍執筆、衣装制作など多面的な活動を続ける町あかりだが、「やっぱり盤を出してこそ、ライヴをしてこその町あかりではないか」という気持ちを持っているファンも数多いことだろう。その意味で今年は音楽家、町あかりにとって特筆すべき1年となりそうだ。というのは、「町あかりの歌謡曲春夏秋冬2024」というプロジェクトのもと、1年に4回、ニュー・リリースが行なわれ、それに伴う実演スケジュールも満載だからだ。「春編」のテーマは、ずばり「ディスコ」。2024年、この惑星の春夏秋冬は町あかりと共にある。

町あかり
New 7inch
「地球出禁にしていいよ / 楽園流しの刑」
(7インチ/SD-558)

町あかり
New 7inch
「常磐ディスコ港町 / 黒帯フィーバー」
(7インチ/SD-559)――「町あかりの歌謡曲春夏秋冬2024」ということで年4回、EPを出していく企画の第一弾「地球出禁にしていいよ ~ディスコあかり DISCO Machi Akari」がリリースされます。この企画のきっかけは何ですか? 「夏海姉妹の〈ハーブみたいな彼〉という曲を書かせていただいたときに、(ウルトラ・ヴァイヴの)高護さんに“一年を通してEP盤を発表する企画をやりませんか?”とお声かけいただいたのがきっかけです。いろんな音楽ジャンルのアイディアをいただいて、その中から今回はディスコを選びました」――町さんにとってディスコのイメージは? 「私は歌謡曲が好きなので、筒美京平さんの楽曲が真っ先に思い浮かびます。岩崎宏美さんに提供した〈未来〉〈ファンタジー〉がとくに印象的ですね。ストリングスの入り方とかリズムのアレンジも含めて、グルーヴが素敵だし、美しいですよね。(世界的なディスコ・ブームを呼んだ1977年のアメリカ映画)『サタデー・ナイト・フィーバー』を見たのはずっと後で、“なんかものすごい不良だなあ”と思っていましたけど(笑)」

――今回の「地球出禁にしていいよ ~ディスコあかり DISCO Machi Akari」は、「地球出禁にしていいよ」という曲から始まります。インパクトある曲名ですね。 「私はいつもタイトルを決めてから曲を書き始めるんです。自分がつけているアイディアメモに“出禁”という言葉があって、曲にすると面白いかなと考えて、今回ディスコだし、ディスコと言えばアース・ウィンド&ファイアーの〈宇宙のファンタジー〉もそうだし、地球を飛び出したような内容の歌にしたいとも思って。それにディスコって男女が踊ったりするじゃないですか。そこから、男女の物語で、男の人の浮気に女の人が怒ってるような内容にして。だけど彼はロマンチストで寂しがり屋で、憎らしいんだけど憎みきれないような……というイメージをふくらませていきました」――この曲のミュージック・ビデオも面白かったです。 「監督は高良嶺さんという方にお願いしました。高良さんは、昨年の末ぐらいにメールをいただいたんです。“町さんの曲が大好きで、つらい時も聴いていました、関わることがあったら声をかけてください”という内容で、“そんな方がいるんだ、一度お会いしましょう”ということでお会いして、今回の仕事をお願いすることになりました。ミュージック・ビデオに関して、私が“こうしてほしい”と言ったことは全然なくて、砂漠が出てきたり、私が想像していなかった歌の世界が大きくふくらんだ感じです。高良さんが楽曲を聴いて想像した世界だと思います」――宇宙的なシーンもありつつ、砂漠のシーンもあるという。この風景はデスバレー(カリフォルニア州)でしょうか? 「日本三大砂丘のひとつである中田島(静岡県)で撮影しました。常に風がビュンビュン吹いていて、寒くて、砂嵐で目も開けられない時間が続いたりして、撮影はすごく大変でした。大変すぎて、私は逆にハイになってました(笑)。今回のEPのDVDに収録されるメイキングでその様子が見られるかもしれません(笑)」

――2曲目「常磐ディスコ港町」のミュージック・ビデオも公開されています。 「これも高良さんが監督です。福島県いわき市の小名浜(おなはま)付近で撮影しました。母方の祖父母がいわき出身なので、子供の頃から親しみのある場所なんです」――方言を交えた歌詞も耳をひきます。曲作りのコンセプトは? 「“和ディスコ”を作りたいなと思って。方言に関しては、もともと方言が入っている歌に憧れはあったのですが、私は東京で生まれ育ったし、なじみがないんです。でも、祖母のことを思い出して、ネットで“いわき 方言”と検索しながら一生懸命作詞しました。それに常磐ものの魚は、黒潮と親潮が沖でぶつかっているためか、すごくおいしくて栄養に富んでいると聞きます。そうしたことを、活きのいい人たちが集まってくるディスコと結びつけて、方言を織り交ぜて表現したらいいものができるかなと思って書きました」――歌詞のなかに「メヒカリ」が登場するのも粋です。そんなにポピュラーな魚ではないかもしれませんが。 「このあたり(常磐)では、メヒカリが一押しなんですよ。だからメヒカリが最初に出したいと思いましたね。シシャモみたいな小型の青魚で、泳いでる時に目が光っているらしいです」――だからメヒカリなんですね!和楽器バンドの蜷川べにさんの三味線も冴えています。 「デモ音源に三味線の音を入れていたんですが、レコーディングの時には実際の三味線奏者にお願いしたくて、蜷川べにさんにお声がけしたら快諾していただきました。すごくかっこいい演奏を入れていただいてありがたいです」

――3曲目の「黒帯フィーバー」のタイトルも心をひきつけます。つい、口に出したくなる曲名です。 「これは今回のEPで一番最後に作った曲なんです。これもメモに“黒帯”と書いてあったところから思いついたのですが、黒帯に合う言葉は“フィーバー”だなと思って、そこから“一芸に秀でていたり、何かをきわめている人はみんな黒帯だ”と解釈を広げていきました。歌の主人公はルックスが良くて、笑顔が素敵で、踊りがかっこいい、だけど内面も超良いんです。何においても心が大事なんだということを、この歌では伝えたかったんです」――英語のディクションも素敵です。言語に対する町さんの誠実さを感じます。 「英語を取り入れた歌を作ってみたいと考えて、オンライン英会話を習い始めてから一年半ぐらいになります。英語がちょっとずつ話せるようになってくることで、フィリピンや南アフリカの人たちと、カルチャーも違うのにこんなに仲良くなれるんだ、世界が広がるんだと感動している状態です。〈黒帯フィーバー〉というアジアがテーマの曲の中に英語をふと入れてみるのも面白いかなと思いました」

――そしてラスト・ナンバーが「楽園流しの刑」。 「これはとにかくキラキラしたディスコが作りたいなと思って書いた曲です。メモに“〇〇流しの刑”と書いてあって、そこから“楽園”という言葉が浮かんできました。ここには日頃から私が思っている、“ずっと楽園みたいなところにいたら、果たしてそれは幸せなのだろうか、つまらないんじゃないか”という考えがこめられています。たとえばゲームをしていても、何度も“できない”というところがあってこそ、最終的にクリアできたというのが大きな楽しみになるわけで、それは人生においてもそうじゃないのかと思います」――空腹の苦しみを知っていればこそ満腹状態のときのありがたみも倍増しますし、労働の後の食事はご飯の一粒一粒やみそ汁の汁面が輝いて見えます。 「ただがむしゃらに働こうというのではなく、でも金曜日の夜に仕事を終えてビールを飲むのって最高ですよね。それは月曜からがんばって働いてきたからじゃないかと、そういうふうに思えるといいよねということなんです」

――「町あかりの歌謡曲春夏秋冬2024」では今後「夏編」「秋編」「冬編」とリリースが続いていくと思いますが、3ヵ月ごとに4曲ずつ新曲を発表するのは大変なハイペースだと思います。 「アルバム『総天然色痛快音楽』(2022年)のときも本当にいっぱい曲を作りましたが、そのときに思ったのは“いくらでも曲が無限に出てくる”ということです(笑)。今後どんな歌を作ることになるのか、自分でも楽しみですね」――コメディ漫画『Cheerly!』、『男はつらいよ』研究、レジェンド作曲家へのトリビュート企画「町あかりの拝啓〇〇様」など、幅広い活動もご自身の音楽創作に反映されているのでしょうか? 「そうだと思います。いろんなことに取り組んでいるからこそいろいろ書けるのかもしれません。ひとつのことだけに取り組んでいたら行き詰まりそうなときでも、たとえば漫画のストーリーを考えることが、作曲にとって良い影響になるということもあります」――「地球出禁にしていいよ ~ディスコあかり DISCO Machi Akari」発売当日の4月3日からインストアイベント、レコ発ツアーが始まります。久しぶりに町さんの実演を楽しみにしているファンが全国にいらっしゃると思います。 「私も楽しみです。〈最高のセットリスト〉や〈コテンパン〉のような今まで出してきたディスコっぽい曲と、今回の新しい曲を混ぜこぜにした内容にしますので、ぜひ一緒に踊って口ずさんでいただけたら嬉しいです。ぜひ遊びに来てください」――このインタビュー記事もちょうどイベント直前ぐらいに公開される予定です。 「あ、じゃあ、なにかこれを読んでくれた方に特典的ななにかあるといいですよね。うーん、じゃあ特典会の時、“CDジャーナルの記事を読みました”とおっしゃった方には、私から“ありがとう”という言葉をお返しします!」――楽しみにしています!
取材・文/原田和典

Information■町あかりストアイベント
4月3日(水)ULTRA SHIBUYA(18時~、19時30分~)
https://ultra-shibuya.com/blogs/event/machiakariparty0403

4月4日(木) diskunion ROCK in TOKYO(18時~)
https://diskunion-rockintokyo.blog.jp/archives/24922760.html

4月5日(金) HMV record shop 渋谷(19時30分~)
https://www.hmv.co.jp/news/article/240307134/

4月6日(土) タワーレコード町田店(13時30分~)
https://tower.jp/store/event/2024/4/107001

4月10日(水) タワーレコード池袋店(19時30分~)
https://tower.jp/store/event/2024/4/014009

4月13日(土) タワーレコード横浜ビブレ店(13時30分~)
https://tower.jp/store/event/2024/4/135006machiakari

4月18日(木) タワーレコード錦糸町パルコ店(19時30分~)
https://tower.jp/store/event/2024/4/1011450418machi

4月19日(金) タワーレコード川崎店(19時30分~)
https://tower.jp/store/event/2024/4/1011450418machi

5月12日(日) ミュージックプラザ・インドウ(13時30分~)
https://www.mp-indo.co.jp/MachiAkari.html
■レコ発ツアー
春風到来!ディスコ・あかりレコ発ツアー<地球出禁にしていいよ>

4月7日(日)神奈川・横浜 Music.Lab濱書房
出演:町あかり/ Dacco / ピノキヲ / ひーちゃん / CosmoーShiki
開場15:00 / 開演15:30
前売 3,500 / 当日 4,000 / 配信 3,000
※1DRINK別途(600)、全席自由
お問い合わせ:045-212-4486
https://www.hamashobo.com/post-11167/

4月26日(金)愛知・名古屋 新栄DAYTRIVE
出演:町あかり/ Tnaka / 桃奈りさこ(O.A.)他
開場18:00 / 開演18:30
前売2500円+1ドリンク / 当日3,000円+1ドリンク
お問い合わせ:052-241-5019(新栄DAYTRIVE)
https://tiget.net/events/301976

4月27日(土)大阪・大阪ロフトプラスワンウエストWEST
出演:町あかり / 超アイドルちいちゃ / ももねさき、他
開場18:00 / 開演19:00
前売3,000 / 当日3,500(共に1オーダー必須(¥500以上))
配信チケット:2,000
お問い合わせ:06-6211-5591(Loft PlusOne West)
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/west/277038

4月28日(日)和歌山・和歌山オールドタイム
出演:町あかり / ア、かげろう
開場12:00 / 開演12:30
前売りor予約3,000 / 当日3,500
中学生:1,000、小学生以下:入場無料
お問い合わせ:073-428-1950(和歌山オールドタイム)
https://x.com/yotta_yotta/status/1758685176929108389?s=20
http://www.first-take.co.jp/oldtime/main.cgi

5月10日(金)京都・京都 西院ウーララ
出演:町あかり / ももねさき
開場18:30 / 開演19:00
予約3,000円 / 当日3,500(+1ドリンク600)
お問い合わせ:075-925-8121(18時以降)
E-mail:info@ooh-la-la.jp(お名前と枚数、電話番号をご明記の上メールご予約OK)
http://www.ooh-la-la.jp/index.html

5月11日(土)広島・福山musicfactory
出演:町あかり / 寺嶋由芙
開場16:20 / 開演17:00
一般前売り4,000(当日4,400)、学生1,000、小学生無料(保護者同伴必須)、未就学児入場不可。
※全ての入場者様より1ドリンク600
チケットご予約方法(メール)
yoyakussl@yahoo.co.jp(せとうちスタートライン 豊岡)
(※タイトルに「5月11日」、本文に①お名前 ②携帯電話番号 ③枚数→主催からの返信で予約完了です)
https://musicfactoryhikino3.wixsite.com/mysite

5月26日(日)東京・池袋Space emo
出演:町あかり / チェリー / 鈴木啓之 / 長井英治
開場12:30/開演13:00
前売チケット3,500
販売:Livepocket
https://t.livepocket.jp/e/1jy1i
当日券4,000
※前売、当日券ともに入場時に別途ドリンク代600円

配信チケット
販売期間2024年3月2日(土)12:00~2024年6月2日11:00
チケット価格1,500
https://space-emo.zaiko.io/item/362563
アーカイブ期間 2024年6月2日13:00まで公開
お問い合わせ:0598-37-635
http://space-emo.com/

6月29日(土)富山・高岡Good Fellows
出演:町あかり / ながそで / ツインテール
開場17:00 / 開演18:00
前売3,000円+1ドリンク500
当日3,500円(税込)+1ドリンク500
お問い合わせ:0766-60-1503
goodfellows.ta@gmij.com(お名前と枚数、電話番号をご明記の上メールご予約OK)
https://x.com/rushia3takaya/status/1758224231937311150?s=20
https://ucwuaf8081.wixsite.com/goodfellows

6月30日(日)石川・金沢 音SPOT cafe&bar 「Jam」
出演:町あかり / northern life / ながそで
開場12:00 / 開演13:00
前売3,000+1ドリンク500
当日3,500(税込)+1ドリンク500
お問い合わせ:090-6278-5235
チケットご予約は主催者TwitterからもOK
https://x.com/rushia3takaya/status/1758225365531824503?s=20
https://www.facebook.com/JamJamJam3150/

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