台湾東部沖で地震、過去25年で最大級 死傷者多数

台湾東部沖で3日午前7時58分(日本時間午前8時58分)、マグニチュード(M)7.4の地震があった。同日午後5時までに死者は少なくとも9人に上り、けが人は700人を超えている。日本など周辺国でも一時、津波警報などが発令された。台湾で起きた地震としては、過去25年で最大級だという。

台湾当局によると、100人以上がトンネルや小型バスの中などに閉じ込められており、救助隊が捜索や救出に努めている。

死者のうち5人は、石やトンネルの破片の落下によって死亡したという。

アメリカ地質調査所によると、震源地は花蓮市の沖合い18キロメートルの海域で、震源の深さは15.5キロ。

台湾当局は、この地震により花蓮市の建物が倒壊したと発表した。地元放送局の映像では、いくつかの建物が不安定な角度で傾いている。現場では避難が進められている。

花蓮ではまた、トンネル4カ所で人が閉じ込められている。

北東部の主要高速道路も閉鎖などの影響が出ている。

半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)は、北西部・新竹市と南部の工場から従業員を避難させたと発表。安全システムも通常通り作動したと述べた。

TSMCは、米アップルなどに半導体を提供している。

中心都市の台北からも、建物が激しく揺れたり、棚から物が落ちたり家具が倒れたりする様子の映像が出てきている。

また、ソーシャルメディアに投稿された動画によると、非常に山深い内陸部では地震によって大規模な地滑りが発生した。被害の程度はまだ不明だ。

地元メディアの映像では、倒壊した住宅や学校から人々が避難している。地元放送局TVBSは、地震の衝撃で自動車が壊れたり、店内の商品が乱雑に投げ出されたりしている映像を流した。

インターネット監視団体のNetBlocksによると、台湾全域で停電とインターネットの停止が報告されている。

蔡総統は軍派遣を発表、近隣諸国も支援の申し出

台湾の蔡英文総統は、救助活動には軍隊が派遣されると述べ、中央機関には地方政府との連絡を維持するよう促した。

蔡総統は

で、余震が起きていることを踏まえ、住民に対し、当局からの最新情報に注意を払い、エレベーターを利用しないよう呼びかけた。

日本の岸田文雄首相は

で台湾での地震に触れ、「海を接する隣人である台湾の困難に際し、日本としては必要な支援を行う用意があります」と表明。

「東日本大震災、また先日の能登半島地震の際にも、大切な友人である台湾の皆様から本当に心温まる支援を頂いたことに、私たちは心から感謝しています」とした。

中国も災害救助支援を申し出ている。

国務院台湾事務弁公室の朱鳳聯報道官は、「中国はこの事態を非常に憂慮しており、被災された台湾同胞に心からお見舞い申し上げます」と述べた。

中国の国営メディアもこの災害を大きく報じている。

中国と台湾は緊張関係にある。台湾は自らを主権国家とみなしているが、中国政府はは台湾を離脱した省とみなし、いずれは中国の一部になると考えている。そのためには武力行使も排除していない。

台湾の国防部(国防省)は地震発生の1時間ほど前に、過去24時間で中国軍機20機が、台湾の防空識別圏に侵入したと発表していた。

日本では3日午前に、気象庁が沖縄県などに津波警報を発令。最大で3メートルの津波が到達すると警告した。

気象庁はその後、警報を注意報に切り替え、正午ごろ解除した。 同県の住民らに対し、約1週間は「同様の強さの余震に警戒」するよう呼びかけている。

フィリピン当局も津波警報を発令し、高台に逃げるよう住民に呼びかけた。

アメリカの海洋大気庁(NOAA)が運営する太平洋津波警報センターは、地震から2時間後に、津波の危険は「過ぎ去った」と発表した。

中国国営メディアは、南東部・福建省の一部で揺れを感じたと伝えた。

台湾の中央気象署地震観測センターの呉健富所長は、「この地震は陸地に近く、浅い。台湾全土と沖合の島々で感じられた。ここ25年で最も強い地震だ」と語った。

台湾では1999年9月、M7.6の地震が発生し、2400人が死亡、5000棟の建物が倒壊した。

(英語記事 Strongest earthquake in 25 years hits Taiwan - seismology centre

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