友人の娘がマルチ商法でお金をだまし取られたそうです。被害者は泣き寝入りするしかないのでしょうか…。

商品の購入やサービスの利用を取り消せるケース

商品の購入やサービスの利用を契約した際、後から取り消すことを「クーリングオフ」といいます。

クーリングオフは「特定商取引法」という法律で定められており、訪問販売や電話勧誘販売、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売取引などが該当します。お金を払う側ではなく、買い取ってもらう訪問購入もクーリングオフの対象です。

「訪問販売」や「電話勧誘販売」は、事業者が訪ねてきたり電話をかけてきたりすることで購入につながります。「特定継続的役務提供」とは長期的で継続的なサービスの提供のことで、エステや語学教室などが該当します。

特徴としてはサービスに対して高額な対価が発生することです。「業務提供誘引販売取引」は「仕事を提供するので収入を得られる」と称し、そのために必要となる商品を購入させる行為を指します。これらの取引には8日間のクーリングオフ期間が設けられており、その間であれば契約を解消できます。

マルチの場合も後から取り消すことはできる?

マルチは「連鎖販売取引」に分類されており、クーリングオフの対象です。連鎖販売取引とは、販売員にするために個人に勧誘を行い、勧誘が成功した後は勧誘をさせて連鎖的に販売組織を大きくしていく取引のことをいいます。連鎖販売取引を取り締まる詳細は、特定商取引法第33条で定められています。

特定商取引法が規定する「連鎖販売業」とは、物品の販売または役務の提供などの事業で、再販売や受託販売もしくは販売をあっせんする者を特定利益が得られるとして誘引し、特定の負担をともなう取引のことです。例えば「入会すれば割引価格で商品を購入できるため、他者を誘って販売すればもうかる」といった商法が該当します。

特定商取引法ガイドには「連鎖販売取引の際、消費者(無店舗個人)が契約を締結した場合でも、法律で決められた書面を受け取った日(商品の引渡しの方が後である場合には、その日)から数えて20日以内であれば、消費者は連鎖販売業を行う者に対して、書面又は電磁的記録により契約の解除(クーリング・オフ)をすることができます。」とあります。

クーリングオフの方法は、ハガキ(書面)の郵送と電磁的記録を使うという2種類があります。ただし、事業者が「クーリングオフはできない」と言った場合や脅してきたときは、20日間を過ぎていてもクーリングオフは可能です。

もしもクーリングオフできるかどうか分からないときは、最寄りの消費生活センターに相談するという手段もあります。また、商品が健康を害するような不審なものだったり脅迫を受けたりしたときは、警察に届けたほうがよいでしょう。

所定の期間内であればお金を取り返せる

マルチは「連鎖販売取引」と呼ばれ、特定商取引法第33条で定められているクーリングオフの対象です。マルチの場合、商品を受け取った日を含めて20日間以内であればクーリングオフでき、お金を返してもらえます。

もしもクーリングオフを受け付けてくれないときは、消費生活センターに確認してみましょう。状況によっては警察に相談することも必要です。

出典

消費者庁 特定商取引法ガイド 連鎖販売取引

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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