両親が70歳以上なら「老人扶養控除」で節税になる!? 親の年金収入が「158万円以下」なら申請できるの? 注意点もあわせて解説

老人扶養控除とは

「老人扶養控除」とは、70歳以上で条件を満たした親族を経済的に支えることで、所得税や住民税の節税効果を得られる扶養控除制度です。なお、要件を満たした扶養親族は「老人扶養親族」と呼ばれます。

老人扶養控除で受けられる控除額

それでは、具体的にどれくらい控除が受けられるのでしょうか。

一般の控除対象扶養親族に対する所得税の控除額は38万円ですが、別居している70歳以上の老人扶養親族がいる場合、老人扶養控除を受けると課税所得金額から48万円を控除できます。また、老人扶養親族が同居の場合の控除額はさらに増え、「58万円」となります。

老人扶養控除が適用される条件

老人扶養控除を受けるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。どのようなものがあるのか見ていきましょう。

老人扶養親族と生計を一にしている

老人扶養親族と「生計が一緒」でなければ、老人扶養控除は受けられません。そもそも生計が別であれば扶養しているとはいえないためです。

老人扶養親族が70歳以上

老人扶養控除を受けるには、扶養に入れたい老人扶養親族が70歳以上である必要があります。この制度における「70歳以上」とは、「その年12月31日現在の年齢が70歳以上」ということです。

老人扶養親族の所得が年間で48万円以下

老人扶養親族の年間の合計所得金額が年間で48万円以下でなくてはなりません。親が年金生活の場合、年金収入から公的年金等控除額を差し引いたものが所得です。計算すると、年金収入が「158万円以下」であれば、老人扶養親族の要件を満たします。

老人扶養親族が青色申告の事業専従者ではない

老人扶養親族が青色申告の専業専従者ではないことも必要な条件です。これは、もしも扶養に入れたい親族が青色申告の専業専従者の場合、すでにその人の給与分を経費として見ているため、併用を避けるためです。

老人扶養控除を受ける際の注意事項

老人扶養控除を受けることで節税となりますが、注意すべき点もあります。

例えば、介護保険料の負担額についてです。介護保険料の金額の計算は、個人別ではなく、世帯収入金額に基づいて行われます。そのため、今まであまり介護保険料を負担していなかった老人扶養親族も、扶養者と同一世帯になったとたんに世帯収入が増え、以前より介護保険料が増えてしまう場合があります。

介護保険料は「自治体ごとに設定される」ため、自身が居住している自治体のホームページなどで世帯年収との関係を確認しておきましょう。

また、老人扶養親族が既に介護サービスを受けている場合、こちらの自己負担額も世帯の年収に応じて変動するため、上がる可能性があります。

まとめ

老人扶養控除を受けると、通常の扶養控除以上に控除を受けられます。ただし、老人扶養控除を受けることで増える支出があることにも注意してください。

申請する場合は専門家などに相談しつつ、損をしないように気を付けましょう。

出典

国税庁 No.1182 お年寄りを扶養している人が受けられる所得税の特例
国税庁 No.1180 扶養控除
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
中野区 介護保険料の決め方と納め方

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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