極端な糖質制限はNG?まったく糖質を摂らないと体に危険な理由とは?【炭水化物の話】

糖新生のしくみ

糖質過多を防ぐために、いつもの食事から糖質をゼロにすることはおすすめできません。糖質量は1回の食事で20〜40g、間食で10g、1日の合計は70〜130gが目安です。これはゆるやかな糖質コントロールを目指す「ロカボ」が提唱する適正糖質量。

1日の糖質摂取量の上限130gは、2006年に米国糖尿病学会が定めた糖質制限食の定義に合致しています。その根拠として、ブドウ糖しかエネルギー源にできない赤血球やブドウ糖を好む脳細胞が利用する1日のブドウ糖量があげられます。逆にいうと、インスリン分泌が不足していても確実に処理しきれる糖質量といえます。

一方、理論的には、糖質の最低限の必要量はゼロ。ブドウ糖が肝臓でつくられるからです。肝臓本来の働きはブドウ糖の放出。24時間脳や体がブドウ糖を消費していても、就寝中に低血糖にならないのは、新陳代謝で血液に放出されたタンパク質(アミノ酸)や脂質(グリセロール)といった栄養素、乳酸といった糖質の代謝産物などを、肝臓がブドウ糖に変えて体の各器官に届けているからです。この働きを「糖新生」と呼びます。その量が1日で150g。*4 食事で糖質を摂取しなくても、ブドウ糖を必要とする血液中の赤血球や脳にちゃんと運ばれるのです。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 炭水化物の話』
著:山田悟

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 炭水化物の話』
著:山田 悟

昨今、健康法やダイエット法として“糖質制限”が浸透し定番となっていますが、一度やってみたものの挫折してしまう人も多く「一生続けるのは現実的じゃない…」「やっぱり主食を食べたい」という声も少なくありません。 本書では『炭水化物』をテーマに、ガマンせずに食べながら痩せる方法や生活習慣病の予防に役立つ知識を、糖尿病専門医でもある著者が図解でわかりやすく解説します。 すべてのカギは『血糖値』。血糖値と聞くと、糖尿病など生活習慣病の人だけが気にするべき数値のようなイメージがあるかもしれませんが、健康診断の数値にあらわれない『食後高血糖』は成人の2人に1人に起きているといわれており、誰もが他人事ではない数値です。 炭水化物を食べながらでも血糖値を上げない食事法を具体的に紹介し、「GI値の低い食品って太りにくいの?」「外食のときはどうすればいい?」「食べ過ぎてしまったら翌日は食事を抜くべき?」といったギモンにも医学的に回答。さらに「白米よりチャーハンのほうが太らない」「油はたくさん摂ってOK」「朝のフルーツはNG」など、今までの固定概念を覆す新常識も。 最先端の研究にもとづいた食事法で、炭水化物や糖質を「食べられない」ではなく「どう工夫して食べるか」がわかる、楽しく一生続けられるメソッドが満載の一冊です。

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