【Mリーグのリアル何切る?】〝ゼウスの選択〟本人解説 鈴木たろうには何が見えていたのか

3月25日第2試合 東2局0本場 東家・鈴木たろうの8巡目(2万4700点・同点2着目、ドラ=2萬)

写真の場面であなたならどうする? 何を切る? 下にある【答え】を読む前にまずは考えてみよう。

8巡目に8萬を持ってきた。どう進めていくか難しいところだが…。

【答え=6筒】自分の手牌、河に捨てられた牌などを除き、多くの牌が伏せられた状態で戦う「不完全情報ゲーム」の麻雀において、相手の手にどんな牌があるか予想できることは、圧倒的な差を生む。その精度が高くなればなおさらだ。鈴木たろう(ド)は七対子でもメンツ手でも2シャンテンの状況から、6筒を切り飛ばしてメンツ手としてはあえての3シャンテン戻し。明らかに遠回りに見える選択も、見えないはずの牌を知る能力によってアガリへと近づいた。

パッと見たところ、孤立牌である4萬切り、6・9萬待ちになる7萬切り、3・6索待ちになる5索切りあたりが候補になるはず。実際にも2シャンテンを維持するなら4萬、7萬、5索の順に受け入れ枚数も多い。ところが、たろうの指は6筒に伸びた。「5筒が場に1枚も見えてない状況でしたが、下家の岡田選手が2筒、7筒切りの後、少考して出された牌が4筒だった。4筒が関連牌なら2筒・7筒を切っていることから持っているのは5筒。4筒の見え方から5筒が対子以上の組み合わせが多い」と読んだ。

いくらシャンテン数が少ないとはいえ、待っても来ないカン5筒はネックにしかならない。ならば3シャンテンに戻しても受け入れを広くすべきという判断だ。恐ろしいほど読みは的確で、岡田紗佳(サ)の手には5筒が2枚。松ヶ瀬隆弥(風)も1枚持っており、山には赤5筒1枚だけという状況だった。

6筒の後に4筒も切ったたろうは、ここから仕掛けも入れてアガリへ突進。ラストの赤5筒を引いてきた岡田が5萬を切ってリーチを打ったところを捕まえてのロンアガリは、たろうにしかできないと思わせる完璧な選択によって生まれた。

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