37歳で脱サラ、入門13年目で真打ち昇進…春風亭柳雀さんの新作は「昔のロックンロールスターあるある」

春風亭柳雀さん

■「かお」遅咲きの落語家、春風亭柳雀さん

 故郷・鹿児島市の川商ホールで6日、2度目となる独演会を開く。「画面越しに見るのと、実演を見るのとじゃ迫力が違う。予備知識はいらないから、生で聞いて」と語る。

 鹿児島中央高校を卒業し、進学した東海大学文学部で「落語好きな友達をつくりたい」と、落語研究部に入った。初めての高座は1年生の5月。「観客の反応が良く、気持ちよくなった。演じる立場の気持ちが初めて分かった」とのめり込んだ。

 卒業後に落語家へという気持ちはあった。しかし、実力がある先輩たちでも続ける人はいなかったため、踏み出せなかった。派遣として勤めた情報関連企業で社員になり、出世の階段を上った。「次は課長」と言われ、立ち止まった。「管理職は転勤が多い。人生が決まってしまうと危機感を覚えた」

 安定か夢か。悩んだ末、一念発起。2008年に37歳で瀧川鯉昇さんに弟子入りした。「この年齢で入門させてくれるか不安だったが、師匠は来るもの拒まずだったので、すぐに入れた」と笑う。前座、二つ目と上り、入門13年目で真打ちに昇進した。夢を追った苦労は苦労でないのか、あまり語らない。

 普段は東京の寄席で芸を磨く。新作の「昔のロックンロールスターあるある」の噺(はなし)も手がけ、独自の世界を追求する。「鹿児島では新作以外にも、誰でも分かる噺を用意する」

 ロックバンドが好きで、洋楽のラジオ番組に出る夢を抱く。52歳。

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