クアルコム、Snapdragon X EliteがインテルCore Ultraより“50%以上高速”だと主張

Image:Mark Hachman / IDG

クアルコムの次期Windows PC向けチップ「Snapdragon X Elite」は、インテルの第13世代CoreチップやアップルのM2チップよりも処理速度や電力効率で勝ると主張していた。だが、それらは古いチップであり、最新世代との比較ではない。

しかしクアルコムはメディア向けブリーフィングを行い、自社開発チップが最新のIntel Core Ultraより50%以上も高速だと示すベンチマーク結果を公式に発表した。

このベンチマークテストは、Snapdragon X Elite搭載リファレンスモデルと、ASUS Zenbook 14 OLED(Intel Core Ultra 7 155H搭載)および、ASUS ROG Zephyrus M16(Core Ultra 9 185H 搭載)を比較するもの。使用ソフトは人気の高いGeekbench 6.2であり、シングルコアとマルチコア性能を対象としている。

まずシングルコアの比較は、Snapdragon X EliteがCore Ultra 9 185Hよりも同じ消費電力で54%高速であり、同じ性能であれば消費電力は65%少なくなる。またCore Ultra 9 155Hと比べれば、それぞれ51%高速/65%少ないとのことだ。

次にマルチコアでは、Core Ultra 9 185Hと比べて同じ消費電力で41%高速、性能を等しくした場合は消費電力が58%少ないと述べている。

さらにグラフィックス面では、UL 3DMark Wild Life Extremeベンチマークを使用。この結果によると、Snapdragon X EliteはCore Ultra 9 155Hよりも同じ消費電力で36%高速、性能を均等にすれば消費電力は50%少ないという。

またアップルの最新チップM3に対しては、Geekbench 6.2を使った場合、15610対12154を達成したとのこと。つまり22%上回っており、先日見つかっていたベンチマーク結果ともほぼ符合している

最近クアルコムは、Snapdragon X Elite搭載PCでほとんどのWindowsゲームがそのまま動くとも予告していた。実際、リファレンスモデルで『Baldur’s Gate 3』が解像度1080p/約30fpsで動いている様子が公開されていたが、これはAMDのゲーミングノート向けチップRyzen 9 7940HSの性能に匹敵する。

すでにSnapdragon X Eliteを搭載したOEM製品はテスト中らしく、Lenovo製ノートPCらしきベンチマーク結果が見つかっている。だが、クアルコムが主張するほどの高性能には至っていないようだ。

各メーカーがチップをどのように実装するか、あるいは冷却システムにどれほど注力するかでノートPCの性能は変わってくる。したがって、実際に発売された製品のレビューを待つ必要があるだろう。

ちなみにM3 MacBook Airは、冷却ファンを搭載していないこともあり、フタを閉じたまま使うと放熱が追いつかず、最高性能の半分ほどに落ち込むことが実証されていた。

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