【独自解説】「自分が悪いことをしたからママが病気に」と考えてしまう子も…キャサリン皇太子妃も悩んだ“親の病を子にどう伝えるか”問題 親が伝えるべき大切なこととは?

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チャールズ国王に続き、がんを公表したキャサリン皇太子妃。王室入りする前から『がん患者のためのチャリティーイベント』に参加したり、王室に入ってからも病院を訪問して小児がんの子どもたちを励ましたりするなど、がん患者の支援活動を熱心に続けてきました。そんな彼女が“自らの口で説明したい”と公開したビデオメッセージが今、世界中で反響を呼んでいます。がん公表に至った背景、そして母としての葛藤…。デーブ・スペクターさんと英国王室ジャーナリスト・多賀幹子さんのダブル解説です。

「あなたは一人ではない」エリザベス女王の“言葉”と共に、がんを公表したキャサリン皇太子妃 『世界中のがん患者さんに勇気を与えるメッセージ』と反響を呼ぶ

キャサリン皇太子妃は2024年3月22日、ビデオメッセージを公開しました。その中で、「1月にロンドンで腹部の手術を受けたとき、がんではないと思われていました。しかし、手術後の検査で、がんが見つかりました」と話し、現在は抗がん剤治療の初期段階であることも明かしました。そして、「この病気と向き合っている皆さん、どうか信念や希望を失わないでください。あなたは一人ではありません」と、がんを患っている人たちへメッセージを送りました。

この動画は、“新型コロナ”のロックダウン中に国民に向け行ったエリザベス女王のスピーチを意識したのではないかといわれています。英「ザ・サン」は、「二人ともカメラに向かって率直かつ親密な言葉で語りかけた」「女王は“今後きたるべき、より良い日々”について語り、皇太子妃は“自分は大丈夫だ”と人々を安心させた」「世代も背景も違う二人だが、『困難は乗り越えられる』と人々を励ます力を持っていた」と分析しています。

Q.エリザベス女王もスピーチの中で、「あなたは一人ではありません」とおっしゃっていましたよね?

(英国王室ジャーナリスト・多賀幹子さん)

「そうですね。女王に名言はたくさんありますけど、特に『You are not alone(あなたは一人ではありません)』という言葉が皆さんの胸に非常に熱く残っていまして、その言葉をキャサリン妃はそのまま使ったということです。『さすが将来の女王になられる方だ』と、皆さんその言葉を繰り返しています」

Q.アメリカでも、大きく報じられているようですね?

(デーブ・スペクターさん)

「キャサリン皇太子妃が、人気雑誌『ピープル』最新号の表紙を飾っています。『がんを患っているキャサリンは、この後どうなるか?』と見出しにあって、関心が高いです。世界中のがん経験者や闘病中の方にとって、『応援したくなる』『勇気づけられる』という動きになっています」

Q.ビデオメッセージの中で特に印象に残るのは、同じくがんを患っている他者への想いを語っていらっしゃるところですよね?

(多賀さん)

「そこが非常に重要なところです。世界中のがん患者さんに勇気を与えるメッセージになっていて、大変すばらしいという声が起きています」

「勇気を持って公表した愛するキャサリンを誇りに思っている」義父・チャールズ国王と深まる絆…カミラ王妃やアン王女も“緑色”纏い『がん患者を応援』とメッセージ

夫・ウィリアム皇太子は当初「なぜキャサリン自身が説明しなければならないのか」と、妻一人でのスピーチに難色を示していたといいます。しかし、“自らの口で説明する”という妻の強い意志を尊重し、ビデオメッセージの公開に至ったということです。

また、イギリス王室は声明で、「国王は、勇気を持って公表した愛するキャサリンを誇りに思っています。ここ数週間、入院生活を共にした最愛の義理の娘と、最も緊密に連絡を取り続けていました。この困難な時期を通し、家族全員に愛とサポートを提供し続けたいと思っています」と、チャールズ国王の想いも明かしました。

実は、チャールズ国王とキャサリン皇太子妃はビデオメッセージが公開される前日、二人だけでランチをして、『がんとの向き合い方』や『公表すること』などを話し合ったといいます。ロンドンクリニックに入院中も、キャサリン皇太子妃をずっと励まし続け、ガウンを着た国王が皇太子妃の病室を何度も見舞いに訪れていたということです。

そんなチャールズ国王は3月31日、カミラ王妃と共にイースター礼拝に参列しました。英「デイリー・ミラー」は、「国王、健在ぶりをアピール」と伝えています。

Q.カミラ王妃にも注目が集まっているのですか?

(多賀さん)

「カミラ王妃のお洋服の色が緑だったことに、皆さん注目されています。チャールズ国王の妹・アン王女とアンドルー王子の元妻・セーラ妃の服も緑色でした。緑というのは、イギリスで一番大きい『がん患者をサポートする慈善団体』のシンボルカラーで、“チャールズ国王とキャサリン皇太子妃だけではなく、全てのがん患者を応援しています”というメッセージを送っています」

さらに、キャサリン皇太子妃の実家の家族も、献身的なサポートをしています。手術後、初めての姿となった3月4日には、母・キャロルさんの運転で子どもたちを学校へ送るキャサリン皇太子妃の姿が。また、「“大親友”ともいわれる妹・ピッパさんを頼りにするだろう」と伝えるメディアも。さらに、弟・ジェームズさんが自身のSNSで、幼き日の姉とのツーショットと共に「私たちは長年、多くの山を一緒に登ってきました。家族として、この山も一緒に登ります」と投稿しています。

Q.すでにSNSは、一つの文化ですね?

(デーブさん)

「そうですね、非常にオープンにしています。ただ、キャサリン皇太子妃も公務をしますが、チャールズ国王と立場が違うのは、君主かどうかということです。君主は、国政の業務などに携わる責任ある立場ですから、病気があると発表しなければいけません。しかし、キャサリン皇太子妃にそこまでの義務はなく、プライベートにしても良いんですが、今はSNSもあって憶測が後を絶たず、いずれは次期国王の王妃になるわけですから、全体的に早い段階で発表しました。でも、本当は言いたくなかったと思います。いまだに、どこのがんとは言っていません。ただ、『早期発見の重要性』だけは変わりがありませんので、啓発の意味では良い影響も持っています」

親の病を子にどう伝えるか…研究進む 「『あなたは悪くない』と繰り返し言って聞かせることが大切」

キャサリン皇太子妃のがん公表後、がんへの関心が高まっています。NHS(国民保健サービス)のがん専門医は、「がんが話題に上ることで、人々が異変を感じたときにすぐに行動に移るようになれば、命が救われることは間違いない」と話します。また、NHSのサイトへのアクセス数が、ビデオメッセージ公開後の3時間で4170件以上(3秒に1回)と前週同時間の2倍以上あり、グーグルの検索数も16倍以上に伸びたということです。

がん公表の裏には、「3人の子どもたちを悲しませたくない」という母としての葛藤がありました。

【キャサリン皇太子妃のビデオメッセージより抜粋】

「ウィリアムと私は、幼い家族のため、できることは何でもしてきました。ご想像の通り、がん治療を始めるため、まずは最初の手術から回復するのに、時間がかかりました。また、最も重要なことですが、ジョージ・シャーロット・ルイに的確な形で全てを説明し、私が大丈夫だと安心させるのにも、時間がかかりました。 私が彼らに言った通り、私は自分を癒すことに集中することで、毎日、心や体・精神の面で元気になり、強くなっていきます。ウィリアムが傍にいてくれるということは、大きな慰めと安心感の源でもあります。多くの皆さまが示してくれた愛・支援、そして優しさも同様です。それは、私たち二人にとって、とても意味のあることです」

今、イギリス国内では「親の病を子に伝えるか」ということが議論になっています。『キャンサー・リサーチUK』は「正直に話すことが、子どもにとって最善であるケースが多い。適切なタイミングが常にあるわけではないが、隠すのはストレスになる。子どもたちは大抵、何かがおかしいと気づく」、がん患者支援団体は「子どもの質問に答えられない場合、『わからない』と言っても構わない。『調べてみるから、わかったら教える』と伝えるのが良い」としています。

Q.キャサリン皇太子妃のがん公表により、親の病を子どもにどう伝えるか、参考になることも出てきましたね?

(多賀さん)

「キャサリン皇太子妃のお子さんたちは10歳・8歳・5歳と年齢差がありますので、それぞれの成長に合わせて伝えることは、大変難しかったのではないかと思います。子どもは、『がんは感染する』といった間違えた考えを持っていたり、“自分が悪いことをしたから”もしくは何かを“しなかったから”お母さんが大変な病気になったのではないかと、大人からしたら考えられない・信じられないような考えを持つらしく、親が『あなたは悪くない』と繰り返し言って聞かせることが、とても大切らしいです。そのあたりは、研究がとても進んでいます。また、キャサリン妃自身がメンタルヘルスを非常に重要視してきた方なので、そういう面でも力を込めて、何回も繰り返し伝え、子どもの成長に合わせて安心させていったと思います」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2024年4月2日放送)

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