タワマンは「買うべきか」?「持ち家派」「賃貸派」それぞれの主張

(※写真はイメージです/PIXTA)

タワーマンション(以下、タワマン)とは、基本的に地上20階建て以上の居住用高層建物のことを指します。「お金持ちの住む家」というイメージが強いですが、実際にはどのような人たちが、どのような目的で住んでいるのでしょうか。様々な角度から検証していきます。

東京オリンピック後に「タワマン」は落ちぶれる?

日本のタワマン第1号といわれているのは、1976年に誕生した「与野ハウス」。高さ66m、21階建て、総戸数463戸の大規模マンションです。

そこから時は進み、1997年。建築基準法・都市計画法の法改正が行われ建設のハードルが下がったことにより、「西新宿パークサイドタワー」「センチュリーパークタワー」「西早稲田シティタワー」など、ランドマーク的存在として、首都圏近郊で建設ラッシュが始まりました。

タワマン乱立の結果、近年では、築15年から20年を迎えたタワマンの大規模修繕工事ラッシュが問題となっています。

大規模修繕工事は何もタワマンに限った話ではなく、マンション住人には避けられない問題といえますが、積立金はやはりタワマンのほうが割高というデータもあります。

国土交通省『令和3年度 マンション大規模修繕工事に関する実態調査』によると、多くのマンションで、1回目の大規模修繕工事は築15年以下、2回目の修繕工事は築26年~30年、3回目の修繕工事は築41年以上で実施される割合が高くなっています。

たいていマンションの大規模修繕は月額1万円前後の積立金から支払われますが、タワマンのような超高層ビルでは費用が高額になることもあります。同調査によると、タワーマンションの大規模修繕では大規模修繕工事の1戸あたりの負担額は、「100万円~125万円」27.0%、「75万円~100万円」24.7%、「125万円~150万円」17.4%となっています。

タワマンと一括りにすれど、内情は様々。リスクを汲んだ上で、自分なら買いたいと思うでしょうか? タワマンの「持ち家派」と「賃貸派」に聞いてみたところ。

「どう考えても『終の住処』ではない。」

●タワマン「持ち家派」の声

「将来的な資産価値を考えて駅近のタワマンを購入した」(35歳/男性)

「賃貸で暮らしていたが、結婚を機に購入した。至便性も高く、ご近所づきあいもあまりないのが楽」(42歳/男性)

「賃貸で暮らすなんてもったいない。多少無理をしてでもローンを組んで購入し、『資産』を保有したい」(40歳/女性)

「これ以上充実した家にはもう巡り合えないと思ったから買った。戸建てや通常の分譲マンションと比べるとタワマンのメリットは計り知れない」(33歳/男性)

「親が購入していたタワマンを継いだ。売却や賃貸に出すことも考えたが、ひとまず住んでみたところ、あまりに居心地がいいのでそのまま暮らし続けている」(50歳/女性)

●タワマン「賃貸派」の声

「どう考えても『終の住処』ではない。万が一大停電にでもなったら家に戻れない。購入する意味がわからない」(45歳/女性)

「単純にお金がない。ゆくゆくは買いたいと思っているが、現状の資金繰りだとローンが組めないと言われた」(26歳/男性)

「今は夫婦2人暮らしで満足しているが、子どもができたらもっと広い家に住みたい。都内のタワマンは高すぎる。将来的には郊外で戸建てかマンションを買う予定」(30歳/女性)

「タワマン云々というより、そもそも『持ち家』を保有したくない。長い目で考えたら資産としての『家』はデメリットのほうが多いと思う」(53歳/男性)

長らく話題になる「賃貸 vs 持ち家」論争は、タワマン内でも紛糾しているようです。 タワマンの恒久的な資産価値を主張する声もありますが、家賃は「生活に不可欠なコスト」と考えて、その時々で生活にあった部屋を借りるほうが「リスクが少ない」という意見も見られます。

タワマン暮らし。憧れる人も少なくありませんが、眼前には通常の分譲マンションや戸建てと変わらない「よくある問題」が佇んでいます。ステータス重視で勢いそのまま住んでしまう前に、「自分の家として適切か」、冷静な判断が求められています。

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