劇団四季最新オリジナルミュージカル『ゴースト&レディ』稽古快調!

劇団四季が、2024年5月に最新ミュージカル『ゴースト&レディ』をJR東日本四季劇場[秋]にて上演する。
原作は「うしおととら」や「からくりサーカス」などのヒット作で知られる藤田和日郎の中編コミックス「黒博物館ゴーストアンドレディ」、19世紀の欧州で近代介護の礎を築いた「ランプを持った淑女」、フローレンス・ナイチンゲール(フロー)と、芝居好きなゴースト、グレイにまつわるファンタジックなラブストーリー。
舞台版では、原作の魅力を大事に、その上で題材の再現に収まらない「演劇」としての新しい魅力の創出を追求する。
演出はスコット・シュワルツ、脚本・作詞に高橋知伽江、作曲・編曲に富貴晴美、音楽監督には鎮守めぐみ、振付にチェイス・ブロック(『ノートルダムの鐘』)、イリュージョンには四季作品初参加のクリス・フィッシャー、擬闘に栗原直樹、映像に松澤延拓を迎え、紫藤正樹(照明デザイン)をはじめとした劇団内の才能が加わる。
稽古に参加したのは出演予定のキャスト陣。メインキャラクター、グレイ役候補 金本泰潤、萩原隆匡、フロー役候補の真瀬はるか、谷原志音。
稽古の披露、その前に演出のスコット・シュワルツより説明。原作を『wonderful マンガ』と評し、『ラブ・ストーリー』であると語る。
ヴィクトリア王朝の時代、クリミア戦争(Crimean War)は、1853年から1856年にかけ、当時南下政策を進めていたロシア帝国と、オスマン帝国・フランス・イギリス・サルデーニャの連合軍との間で行われた戦争。その戦闘地域はドナウ川周辺、クリミア半島、さらにはカムチャツカ半島にまでおよんだ、近代史上稀にみる大規模な戦争である。ロンドンタイムスの特派員ウィリアム・ハワード・ラッセルにより、クリミア戦争の前線における負傷兵の扱いが後方部隊で如何に悲惨な状況となっているかが伝えられるようになると、一気に世論は沸騰する。ナイチンゲールも自ら看護婦として従軍する決意を固める。事態を重くみたシドニー・ハーバート戦時大臣は、ナイチンゲールに戦地への従軍を依頼する。10月21日、ナイチンゲールはシスター24名、職業看護婦14名の計38名の女性を率いて後方基地と病院のあるスクタリに向かい、11月に到着する。

稽古披露、最初は第一幕第四場、「国は責任をとれ」から「走る雲を追いかけて」新聞「ザ・タイムス」の戦場特派員ラッセルが戦場の惨状を報じるところから。そしてこの物語のヒロイン・フローがハーバート戦時大臣により「女性看護要員団」の団長に任命され、看護師たちと共にスクタリ陸軍野戦病院へ向かうナンバー。

まず、戦場特派員ラッセルの独唱、クリミア戦争がどんなに悲惨で大変かを国民に伝える。人々は皆、「ザ・タイムズ」を持って見入っている。新聞をよく見ると…当時の写真が。ラッセルの独唱から人々が歌うコーラス、スピード感のある場面、畳み掛けるように展開する。

そして任命されたフローが決意を漲らせて歌う、独唱、そこから次々と志を同じくした女性看護師たちが集まる、厚みのあるコーラスへと連なっていく。

この場面が終わると演出家より細かい指示が出る。顔の上げ方で、見え方がかなり違う。フローたちの『本気度』を一瞬で表現しなければならない重要な瞬間。
次に披露されたのは、この物語のもう1人の主人公・ゴーストであるグレイ。第二幕第四場「裏切りの人生」、グレイが生前の人生を回顧するナンバー。グレイとフローが出会ったのは1852年。その時点で実に80年以上、ゴーストとして劇場でひたすらお芝居を観続けていた。そんな彼に声をかけたのがフロー。

つまり、グレイの話はそこから80年以上遡る。彼には想い人がいた。だが、彼女は貴族のパトロンがいた、早い話が愛人、そんな彼女とグレイ、結ばれるはずもなく…しかも悲惨な末路。

その展開をテンポ良く見せる。
最後に披露されたのは第一幕第八場「不思議な絆」フローとグレイが、お互いの声が聞こえないところで想いを重ねるナンバー。

この場面はフローとグレイの2人だけ。動くセットでなかなか交わることのない状況を表現し、最後は歌声が一つになっていく感動的なシーン。

稽古披露の後、取材会が行われた。登壇したのは演出のスコット・シュワルツ、グレイ役候補 金本泰潤、萩原隆匡、フロー役候補の真瀬はるか、谷原志音 そして劇団四季の代表取締役である吉田智誉樹。取材会の様子は後日。

<製作発表会レポ>

物語
時は19世紀。ロンドンのドルーリー・レーン王立劇場には〈灰色の服の男=グレイ〉と呼ばれる有名なシアター・ゴーストがいた。彼が客席に現れるとその芝居は必ず成功すると言われている。
ある日、彼のもとに一人のレディが現れ、「私を殺してほしい」と懇願する。彼女の名は、フローレンス・ナイチンゲール(フロー)。フローは看護の道に進むことが使命と信じながらも、看護婦を卑しい仕事と蔑む世間の風潮と家族の反対に抗えず、自らの生きる意味を見失い、死を望んでいた。芝居をこよなく愛するグレイはそんな彼女に興味を持ち、自らが悲劇の主役になるため、「フローが絶望の底に落ちた時に取り殺す」ことを条件に願いを聞き入れる。

グレイとの契約で死を覚悟したことにより、看護の道を突き進むことを決断したフロー。行動を共にするようになった二人は、クリミア戦争での傷病兵を収容するスクタリ陸軍野戦病院へ赴く。現地では「女性に看護はさせない」という軍からの強い反発が待っていたが、フローは力と知恵を振り絞り、数々の困難、そしてグレイの期待する絶望を撥ね除け、自らの理想に向かって突き進み始める。グレイもそんなフローの情熱に魅せられ、次第にフローの手助けをするようになり、いつしか二人は不思議な絆で結ばれていく。

スクタリ陸軍野戦病院の改善も進み、フローは「クリミアの天使」と呼ばれるようになっていた。しかし、そんな彼女の活躍をよく思わない人々もいた。陸軍野戦病院を管轄する軍医長官のジョン・ホールもその一人。フローの活躍によって、必死に築き上げてきた自らの地位を失いかけたホールは、彼女を亡き者にしようと謀り、とある人物に命令を下す。
その人物はグレイと同じゴーストで……。

公演概要
日程・会場:2024年5月6日〜 JR東日本四季劇場[秋]
公式サイト:https://www.shiki.jp/

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