本気のモータースポーツ仕様のヒョンデ 「IONIQ 5 N eN1 Cupカー」が登場

Hyundai Motor Company(ヒョンデ モーター カンパニー。以下、ヒョンデ)は3月31日、まもなく開催されるモータースポーツイベント「Hyundai N Festival」の参加チーム公式練習ラウンドで「IONIQ 5 N eN1 Cupカー」を発表しました。

BEVスポーツモデルのIONIQ 5 Nをさらに磨き上げた

ベース車よりもフェンダーは大きく外へ張り出している。

「IONIQ 5 N eN1 Cup(アイオニックファイブN eN1カップ)カー」は、IONIQ 5のハイパフォーマンスBEVであるIONIQ 5 Nをベースに開発されたフル電動レーシングカーです。

パワーエレクトロニクス(PE)システムは量産型のIONIQ 5 Nと同じく、強力なパワートレーンと大容量のバッテリーが搭載されています。

「IONIQ 5 N eN1 Cupカー」のベースとなったIONIQ 5 N。

ちなみにベース車のIONIQ 5 Nは、日本では2023年のラリージャパンで初公開され注目を集めたスポーツBEVです。IONIQ 5をベースに車高を20mmダウン、275/35R21というタイヤを装着するために全幅を50mm拡幅したほか、全長も50mm拡大されています。さらに空力パーツの追加や最高出力478kW(650ps)/最大トルク740Nmというハイパワー化にも耐えられるようにシャシの溶接と接着を42カ所も増やすなどの強化が図られたモデルです。

ダウンフォースを高める効果があるフロントバンパーの形状もベース車とは大きく異なる。

しかし「IONIQ 5 N eN1 Cupカー」ではボディはリデザインされています。オーバーフェンダーは低くワイドになり、ハンドリング改善のためにホイールの軌道を拡大。フロントリップとリアウィングからのダウンフォースを増やし、空力性能を向上させています。

さらに重量削減のために部品点数を減らしたほか、鍛造ホイールやFRPボンネット、ポリカーボネートウィンドウが採用されています。

大きなリアウイングを装備。リアバンパー下部は空力性能向上のためにディフューザー形状を採用。

観客を魅了するレーシングマシンらしい演出も用意

レーシングカーらしさを感じる「IONIQ 5 N eN1 Cupカー」のステアリングホイール。

またレーシングカーならではの演出も用意されています。NGBオーバーブースト、バーチャルシフト(N e-Shift)、差別化・増幅されたNAS+(N Active Sound)によるサウンドを楽しめるほか、チームによって独自のサウンドを設定することも可能です。

なお、「IONIQ 5 N eN1 Cupカー」は4月27日のHyundai N Festivalのインジェ・スピーディウムで行われる開幕戦公式練習を行い、第5戦で実施される1対1のノックアウトレースや従来のスプリントレースなど10のレースに参戦。これらはいわばトライアル期間で、eN1 Cupカーとしてのテストや改良の機会となります。

BEVレースならではの安全性確保に向けた取り組みも実施

充電設備の安全性など、BEVを使ったレースならではの安全性の検証や安全対策も模索していく。

また、レースチーム、ドライバー、マーシャルがBEVレースについて学ぶことはもちろん、充電関連のインフラや火災対応対策、緊急対応といったへの練度の向上にも活かされます。

「IONIQ 5 N eN1 Cupカー」の登場は、本格的な高性能BEVレーシングカーの選択肢と可能性を示しただけでなく、BEVレースの発展と促進にも良い影響を与えそうです。

■IONIQ 5 N eN1 Cupカーの仕様、および付随する装備
●PE システム
IONIQ5 N 製品仕様のPE システムに含まれているもの
ーモーター:フロント166kW(226ps) 、リア282kW(383ps)=合計:650ps
ーパッテリー:84.0kWh
ーインパーター:2レベルSiCインパーター
●充電システム
IONIQ 5 N 製品仕様の充電システムに含まれているもの
-800V、400Vのマルチ充電システム
—最高充電速度: 350 kW
ー充電時間: 10~80% 18 分(最適な条件下)
●サスペンション
調整可能な2レベルダンパー
車高とキャンバーは調整可能
●ブレーキ
鍛造キャリパー(フロント6ポット、リア4ポット)
●タイヤとホイール
18インチ モータースポーツスリックタイヤ
18インチ 11 J鍛造ホイール
●エクステリア
高いダウンフォースを生じさせるモータースポーツ・エアロキットとワイドフェンダー
●安全性
FIA規則標準の多点溶接ロールケージ(付録J)
バケットシート、6P安全ベルト
高圧遮断装置
高圧警告インジケーター
窒素消火設備
位置が変更された充電ポート
●総重量
およそ1,970Kg
●IONIQ5 N テクノロジ一
N e-Shift
N Active Sound+ (強化)
N グリン・ブースト
N バッテリープレコンディショニング

© 株式会社モーターマガジン社