【ハンドボール】男子代表監督にオルテガ氏再登板 | ダグル氏辞意から2か月

ハンドボール日本代表監督に決まったスペイン人のカルロス・オルテガ氏(JHA提供)

パリ五輪出場権を獲得後、ダグル・シグルドソン前監督の突然の辞意表明を受け、2024年2月から監督不在の異常事態となっていたハンドボール男子の新指揮官がようやく決まった。日本ハンドボール協会(JHA)は2024年4月3日、都内で記者会見を開き、男子日本代表の新監督にスペイン人のカルロス・オルテガ氏(52)が就任すると発表した。オルテガ氏は2016〜2017年に日本代表監督を務めたことがあり、2016年のアジア選手権(バーレーン)では当時30連敗中だった韓国に26年ぶりに勝利するなどして準優勝、翌2017年の世界選手権(フランス)に出場(22位)した実績を持つ。今回は約7年ぶりの「再登板」となる。

現バルサ監督、合流6月 契約はパリ五輪終了まで

一方で、オルテガ氏は現在もスペインリーグの強豪クラブチーム、バルセロナを監督として率いている。その公式戦日程の都合上、日本代表への合流は6月になる見込み。パリ五輪のハンドボール競技は開会式翌日の7月25日に始まるため、指導期間は五輪本番まで実質2か月足らずとなる。

日本協会(JHA)はオルテガ氏との契約期間を「まずは4月1日からパリ五輪終了まで(決勝は8月11日)」と説明。パリ五輪後の監督人事について宮本英範専務理事は「それから先の話はいろいろな環境を踏まえて話し合いをしていく」と言葉を濁し、明言を避けた。

日本代表の指導歴があり、7年前には短期間で成果を上げた実績があるオルテガ氏は、日本協会がリストアップした選択肢のなかで最強のカードには違いないのだが、パリ五輪までの「ピンポイント契約」である以上、強化・育成の連続性や長期的な強化方針は見えず、付け焼刃な印象がぬぐえない人事となった。(下に記事が続きます)

時間の制約のなかで「話題になるチーム」を

スペインからウェブ会議ツールのZoomで記者会見に出席したオルテガ氏は新監督就任にあたり、「日本代表監督のオファーをいただき誇りに思う。私にとって非常に短期間でタイトな仕事になるが、スポーツである以上、タイトル獲得を目指していく。もし仮にタイトルが取れなかった場合にも、日本代表が話題になるようなチームを作りたい」と抱負を語った。

目指すチーム像については「スピードやカウンター攻撃など日本の武器を最大限発揮できるようにしたい」とした一方で「私には時間が足りない。この時間の制約のなかではパリ五輪までは大きな変化を求めることはできない。前監督の築いたベース(土台)の多くの部分を踏襲することになるだろう」と話した。

質疑応答で報道陣から「印象に残っている現役日本代表選手は誰か」と問われ、「モトキ、ワタナベ、アガリエ、カサハラ、タマカワ…」と5選手の名前を挙げたのちにしばし沈黙。「私にとって、日本人の名前を覚えるのは難しいことだ。世界でいま活躍している選手も知っているし、ベテランと若手の融合がうまくいっていることも承知している」とお茶を濁した。

ダグル氏、クロアチア代表監督としてパリ五輪へ

今回の監督人事は、2017年から男子日本代表を率いて、2023年秋にはパリ五輪の出場権をもたらしたアイスランド出身のダグル・シグルドソン監督(50)が日本ハンドボール協会(JHA)に2024年2月9日、突然辞意を申し入れたことに端を発した。

シグルドソン氏は日本男子代表を率いて36年ぶりとなる自力での五輪出場に導いたにも関わらず、その帰国会見には姿を見せず、2月に日本協会に対して1本のメールで辞意を申し入れた。その直後の2024年2月29日、シグルドソン氏はクロアチア・ハンドボール男子代表監督に就任が決まった。

シグルドソン氏は2024年3月5日に公開されたクロアチアの監督に就任して初めてのインタビュー(欧州ハンドボール連盟の公式ポッドキャスト)で冒頭、日本への思いを訊かれて「つらく、苦しかった」と心情を告白。

It was difficult to announce that I would like to leave the post, so it was a hurtful and painful thing to do. 

クロアチア代表監督就任後の初のインタビュー

さらに、「(パリ)五輪でヨーロッパのチームと対戦し、日本の成長ぶりを世界に示すために闘うことを本当に楽しみにしていたが、不幸にも、そのポジション(日本代表監督)にはいないことになった」と語り、まるで解任されたかのような語り口で話した。一方的にメールで辞意を伝えられたという日本協会の説明とは、やや温度差があった。

I was really looking forward to playing again with this team against the European teams at the Olympics  to really show the world how far they have come, but unfortunately, I will not be in that position.

クロアチア代表監督就任後の初のインタビュー

シグルドソン監督率いるクロアチアは2024年3月14-17日、世界最終予選に出場、3戦全勝でパリ五輪出場を決めた。男子のパリ五輪出場国は以下の12か国が出そろった。

【パリ五輪出場国】フランス / エジプト / アルゼンチン / 日本 / クロアチア / デンマーク / ドイツ / ハンガリー / ノルウェー / スロベニア / スペイン / スウェーデン

予選の組み合わせ抽選会(ドロー)は4月16日、パリで開かれる。パリ五輪ハンドボール日程は7月25日〜8月11日。

現バルサ監督、合流6月 契約はパリ五輪終了まで

一方で、オルテガ氏は現在もスペインリーグの強豪クラブチーム、バルセロナを監督として率いている。その公式戦日程の都合上、日本代表への合流は6月になる見込み。パリ五輪のハンドボール競技は開会式翌日の7月25日に始まるため、指導期間は五輪本番まで実質2か月足らずとなる。

日本協会(JHA)はオルテガ氏との契約期間を「まずは4月1日からパリ五輪終了まで(決勝は8月11日)」と説明。パリ五輪後の監督人事について宮本英範専務理事は「それから先の話はいろいろな環境を踏まえて話し合いをしていく」と言葉を濁し、明言を避けた。

日本代表の指導歴があり、7年前には短期間で成果を上げた実績があるオルテガ氏は、日本協会がリストアップした選択肢のなかで最強のカードには違いないのだが、パリ五輪までの「ピンポイント契約」である以上、強化・育成の連続性や長期的な強化方針は見えず、付け焼刃な印象がぬぐえない人事となった。(下に記事が続きます)

時間の制約のなかで「話題になるチーム」を

スペインからウェブ会議ツールのZoomで記者会見に出席したオルテガ氏は新監督就任にあたり、「日本代表監督のオファーをいただき誇りに思う。私にとって非常に短期間でタイトな仕事になるが、スポーツである以上、タイトル獲得を目指していく。もし仮にタイトルが取れなかった場合にも、日本代表が話題になるようなチームを作りたい」と抱負を語った。

目指すチーム像については「スピードやカウンター攻撃など日本の武器を最大限発揮できるようにしたい」とした一方で「私には時間が足りない。この時間の制約のなかではパリ五輪までは大きな変化を求めることはできない。前監督の築いたベース(土台)の多くの部分を踏襲することになるだろう」と話した。

質疑応答で報道陣から「印象に残っている現役日本代表選手は誰か」と問われ、「モトキ、ワタナベ、アガリエ、カサハラ、タマカワ…」と5選手の名前を挙げたのちにしばし沈黙。「私にとって、日本人の名前を覚えるのは難しいことだ。世界でいま活躍している選手も知っているし、ベテランと若手の融合がうまくいっていることも承知している」とお茶を濁した。

ダグル氏、クロアチア代表監督としてパリ五輪へ

今回の監督人事は、2017年から男子日本代表を率いて、2023年秋にはパリ五輪の出場権をもたらしたアイスランド出身のダグル・シグルドソン監督(50)が日本ハンドボール協会(JHA)に2024年2月9日、突然辞意を申し入れたことに端を発した。

シグルドソン氏は日本男子代表を率いて36年ぶりとなる自力での五輪出場に導いたにも関わらず、その帰国会見には姿を見せず、2月に日本協会に対して1本のメールで辞意を申し入れた。その直後の2024年2月29日、シグルドソン氏はクロアチア・ハンドボール男子代表監督に就任が決まった。

シグルドソン氏は2024年3月5日に公開されたクロアチアの監督に就任して初めてのインタビュー(欧州ハンドボール連盟の公式ポッドキャスト)で冒頭、日本への思いを訊かれて「つらく、苦しかった」と心情を告白。

It was difficult to announce that I would like to leave the post, so it was a hurtful and painful thing to do. 

クロアチア代表監督就任後の初のインタビュー

さらに、「(パリ)五輪でヨーロッパのチームと対戦し、日本の成長ぶりを世界に示すために闘うことを本当に楽しみにしていたが、不幸にも、そのポジション(日本代表監督)にはいないことになった」と語り、まるで解任されたかのような語り口で話した。一方的にメールで辞意を伝えられたという日本協会の説明とは、やや温度差があった。

I was really looking forward to playing again with this team against the European teams at the Olympics  to really show the world how far they have come, but unfortunately, I will not be in that position.

クロアチア代表監督就任後の初のインタビュー

シグルドソン監督率いるクロアチアは2024年3月14-17日、世界最終予選に出場、3戦全勝でパリ五輪出場を決めた。男子のパリ五輪出場国は以下の12か国が出そろった。

【パリ五輪出場国】フランス / エジプト / アルゼンチン / 日本 / クロアチア / デンマーク / ドイツ / ハンガリー / ノルウェー / スロベニア / スペイン / スウェーデン

予選の組み合わせ抽選会(ドロー)は4月16日、パリで開かれる。パリ五輪ハンドボール日程は7月25日〜8月11日。

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