「なおエ」どころじゃない!「大谷ロス」「補強進まず」「日本スポンサー撤退」“三重苦”にあえぐエンゼルスの惨状

3月6日(日本時間)のオープン戦では、大谷翔平(左)は元同僚・トラウトとの再会を喜んだ(写真・AP/アフロ)

“大谷翔平ロス”のエンゼルスが、心配な状況になっている。

3月29日(日本時間)、エンゼルスは敵地ボルティモアでオリオールズと対戦。初回、トラウトが第1打席で今季第1号で先制したが、よかったのはここまで。その後は、大谷と仲がよかった先発サンドバルが2回途中5失点の大乱調。その後も、出てくる投手が次々と打ち込まれ、終わってみれば3-11の大敗だった。

翌日も、同じ光景を見ているがごとく、再び投手が打ち込まれ、4-13と、これまた大敗だった。その後、チームは3連勝と立て直したように見えるが、現地のエンゼルス担当記者は「不安しかない」とため息をつく。

「投手としてもエースだった大谷を失ったのであれば、それに変わる強力な先発投手を補強しなければいけなかったのは明らかでした。だが、これといった補強はなし。2023年に先発ローテーションに入っていた投手は、他チームなら中継ぎに回されるくらいの実力で、先発の柱は皆無なんです。マイナーにもこれといった将来を嘱望される若手もいません。

大敗後は、なんとか勝ちを拾って3連勝しましたが、いつまた投手陣が打ち込まれるかと、チーム首脳陣のみならず、ファンもハラハラ状態なんです」

また、エンゼルスを去ったのは大谷だけではない。練習でもつねにパートナーとなっていたデービッド・フレッチャー内野手はブレーブスへ。主軸を任されていたジャレッド・ウォルシュ内野手はレンジャーズへ。さらに女房役として投手・大谷を支えてきたマックス・スタッシー捕手もホワイトソックスに移籍した。2018年当時、メジャー40人枠に入っていたメンバーで、残っているのはマイク・トラウト外野手ただひとり。そのトラウトでさえ、チームが下位に沈んでポストシーズン進出が絶望になれば、トレードされる可能性は高いのだ。

さらに大谷在籍時は、エンゼル・スタジアムに掲げられていた日本企業の広告の多くが、ドジャースタジアムに移籍した。

2024年1月、MLBは最初のパワーランキングを発表。エンゼルスは全30球団中25位。補強が進まず、主力を多く失ったチーム状況を考えると、このランキングも納得するほかない。

日本では大谷が打ってもチームが勝てない現状を「なおエ」と揶揄してきたが、2024年のエンゼルスは、その例えすら当てはまらない状況に追い込まれているようだ。

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