timelesz、新メンバー募集はチャンスに? 結成10周年に4人加入で急成長の超特急の例から考える

4月1日、Sexy Zoneがtimeleszへの改名と新メンバー募集オーディションを開催することを発表した。詳細は後日発表とのことだが、公式サイトによると応募資格は日本で活動可能な18歳から30歳までの男性。基本的に芸能プロダクション等への所属はしていないことが条件となるが、ジュニアは応募可能ということもあり、事務所としても前例のないプロジェクトに衝撃が走っている。前代未聞の彼らの決断がどのような展開を迎えるのか、彼らと近い状況下でのオーディションにより新メンバーを迎え入れ、それからぐんぐんと勢いを増しているスターダストプロモーション・EBiDAN(恵比寿学園男子部)所属のグループ・超特急の例をもとに考察したい。

超特急は、結成10周年を迎える2022年に開催した『超特急募』というオーディションにより、4人の新メンバーを迎え9人体制となった。彼らは春のホールツアー『BULLET TRAIN 10th Anniversary Tour 2022「Progress」』の初日である4月23日の公演でオーディション開催を発表。ツアーと並行して審査と選考を行い、ツアー最終日であり8号車(超特急のファンの呼称)の日である8月8日の公演で新メンバーのお披露目を行った。新たに仲間入りしたのはバックボーカルのシューヤ、メインダンサーのマサヒロ、アロハ、ハル。それまでメンバーの脱退を経験していた超特急にとって、新メンバーを迎え入れることはグループを進化させるための大きな決断だった。新メンバーの加入は、超特急にどう追い風を吹かせただろうか?

まずは何といってもボーカルの加入により超特急のパフォーマンスにツインボーカルが復活したことは大きな影響を与えただろう。超特急は多くの楽曲で歌唱をメインに担当するバックボーカルと、ダンスをメインに担当するメインダンサーに分かれてパフォーマンスをするグループだ。2018年にバックボーカルを担当していたコーイチが脱退し、以降の楽曲はもうひとりのバックボーカルのタカシが中心となって歌唱をするスタイルとなっていた。そんなタカシに新たな相棒としてシューヤが加入したことでユニゾンが楽曲へ与える奥行きと面白さ、ライブやレコーディング等における体力面と精神面、メインダンサーを含めたパフォーマンスの構成におけるバランス、どれを取ってもプラスに働きかけているように思う。加入以前からグループでの活動経験もあったシューヤは、人々からの注目への貪欲さや上昇志向も十分にあった。YouTubeの企画を提案したり外部イベントであるチョコレートプラネット主催『EXTREME KETCHUP WORLD CUP』への参加を持ちかけたりと、新たな角度からの風を吹かせ、外的な刺激を与えているのも彼だ。

メインダンサーとして加入したマサヒロは、バックダンサーとして様々なステージに立ってきたダンスの実力者。加入前には超特急のバックダンサーの経験もあり、彼らを外側から支えていた存在が内部に入ってきたことはグループの視野を大きく広げる効果をもたらしただろう。新メンバー加入後初のアルバム『B9』におけるリリースイベントでオリジナルメンバーが新メンバーへ企画と演出を託した際に、彼が主体となり進行していた様子が印象的だった。グループへの主観と客観を持ち合わせるマサヒロは超特急のブレインとしても新たなエンターテイメントを生み出している。

元々超特急と同じ事務所に所属しており、メインダンサーとして加入したアロハ。端正な顔立ちで地上波番組やイベントでは超特急を知らない人からも話題になることも多い印象を受ける。彼のピュアな内面が表れたような眩しい笑顔とカメラを独占する妖艶な視線は見る者を釘付けにさせる。それは数字にも出ており、超特急公式TikTokに2023年3月26日にアップされた彼のソロダンス動画は191万回再生と7.6万いいね(4月3日現在)を突破。同時期に投稿された動画でもダントツの数字となっている。「このイケメン誰?」「初見だけど好きすぎる」等といったコメントも寄せられ、この動画から超特急・アロハを知ったという人も少なくない。人々の視線を絡め取る圧倒的な力は表舞台に立つために生まれてきたような唯一無二の魅力であり、彼をきっかけに超特急を知る人は今後も多いだろう。

同じくメインダンサーで、同事務所の研究生として活動していたハル。最年長メンバーのカイと10歳離れた最年少、現在19歳の彼の一際輝くエネルギーは超特急の底抜けに明るい楽曲に説得力をも与える。ライブの定番曲である「バッタマン」では加入以前の既存楽曲ながらセンターを務めており、ステージを縦横無尽に走り回る姿はまるでもう何年もこのグループにいたかのような振る舞いだ。彼を見ていると、新たなものが持つ個性が従来あった場所の性質にぴたりとハマることが本当にあるのだと実感する。朗らかで等身大な楽曲と研ぎ澄まされたパフォーマンスで人々を元気づける超特急にハルが加入したことは、若い生気を吹き込みながらもグループの真髄を強固にするような効果もあったのではないだろうか。

外の世界を経験してきた2人と、超特急と同じ事務所で育った2人が加入したことによりグループとしてのポテンシャルは劇的に増大した。今年4月から始まる全国ツアーもチケットは完売、彼らが掲げるドーム公演の夢はもうすぐそこまで来ているようにも思える。timeleszのプロジェクトに関して、何年も続いてきたものが変わることに賛否両論が生まれるのは当然のことだ。それでも保守より革新を求める彼らに目覚ましい出会いが訪れることを強く信じ、新生timeleszに期待したい。

(文=池田夏葉)

© 株式会社blueprint