英銀スタンチャートCEO「引き続き中国市場を開拓」

英銀スタンチャートCEO「引き続き中国市場を開拓」

   スタンダードチャータード証券(中国)社内の様子。(資料写真、北京=新華社配信)

 【新華社北京4月3日】英銀行大手スタンダードチャータード(SCB)のビル・ウィンターズ最高経営責任者(CEO)はこのほど取材に応じ、「中国経済が回復し、中国資本市場の開放ペースが速まり、人民元の国際化も進展しており、私たちは引き続き中国市場を開拓していく」と述べた。

 ウィンターズ氏は、中国政府が掲げた今年の国内総生産(GDP)成長率5%程度の目標に楽観的な見方を示した。不動産業の安定、消費者の信頼感と輸出の回復、「新たな質の生産力」(科学技術イノベーションが主導し、質の高い発展を促す生産力)の育成加速は、経済に新たな活力をもたらしていると指摘。「経済の構造転換の過程で、一定の痛みと課題があるのは当然のことだ。総じて言えば、私たちは中国経済の中長期的な見通しを非常に楽観している」と語った。

 SCBによる中国中小企業の景況感を示す「中国中小企業信頼感指数」は、最新の指標がほぼ拡大圏にあり、中国経済はミクロ分野で明らかな回復基調がみられる。

 中国は金融分野の開放ペースを速めている。同行による外資系独資証券会社、スタンダードチャータード証券(中国)が3月22日に開業した。ウィンターズ氏はこれについて「SCBの中国事業に新たなチャンスをもたらす」と指摘。また、香港と本土間の債券相互取引制度「債券通(ボンドコネクト)」や、粤港澳大湾区(広東・香港・マカオグレーターベイエリア)の住民が大湾区内で資産運用できる「跨境理財通(クロスボーダー・ウェルスマネジメント・コネクト)」など、相互取引制度の相次ぐ導入も、多くの国際投資家を中国金融市場に引き付けているという。

 中国国務院弁公庁が最近発表した「ハイレベルの対外開放の着実な推進と外資の誘致・利用の促進に関する行動計画」では、債券引受業務や国債先物取引など金融分野の開放を含む24項目の措置が示された。ウィンターズ氏は「外資系同業他社が喜ぶ前向きな政策だ」と評価した。

 人民元の国際化については、中国のあらゆる貿易の越境決済において、人民元決済の割合が上昇している。人民元建て越境決済システムの積極的な参加者として、SCBはさらに人民元の国際化にかかわっていくとした。

 SCBの23年の中国におけるオフショア関連収入は42%、オンショア関連収入は4%それぞれ増加した。ウィンターズ氏は、対中投資が必須の選択肢だとし、今後はハイエンド製造、電気自動車(EV)、再生可能エネルギーなどの分野への布石を拡大すると述べた。「中国の資本市場は新たな質の生産力の発展にとって非常に重要な要素となる見通しで、SCBはさらなる対外開放の機会をつかみ、中国の新たな質の生産力の発展に寄与したい」と強調した。

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