松木と荒木のアベックゴールに目を奪われがちだが、浦和戦で見逃せなかった勝利へのポイントは… 【FC東京】

FC東京はここまで“新”国立競技場で5戦無敗(4勝1分)。2021年1月4日のルヴァンカップ決勝で柏レイソルを2-1と下し、続く22年にはJ1リーグでガンバ大阪(22年4月29日)と京都サンガF.C.(同年9月18日)にいずれも2-0で勝利した。そして2023年シーズンはJ1リーグで川崎フロンターレ(5月12日)に2−1と競り勝ち、ヴィッセル神戸(8月26日)には2-2と引き分けた。

2024年4月3日、縁起の良いスタジアムでFC東京が戦う相手は浦和レッズ。3月30日の川崎戦からスタメン6人を入れ替えて臨んだその浦和戦、FC東京は立ち上がりから攻めの姿勢を示すものの、選手の距離感がいまひとつでなかなかリズミカルな攻撃を展開できなかった。VAR判定でのゴールなし、チアゴ・サンタナのロングシュートで被弾、中村帆高の負傷交代と悪い流れも重なり、苦しい前半となった。しかし--。

後半になると、1トップの荒木遼太郎、トップ下の松木にボールがより入るようになり、浦和を押し込む。そして50分に荒木が美しいミドルを突き刺すと、その8分後には俵積田晃太のチャンスメイクから松木が蹴り込んで逆転に成功した。

前節の川崎戦とは違って、この日のFC東京には押し返す力があった。松木は語る。

「(0-3で敗れた川崎戦を経て)すごく選手同士でミーティングをして、思っている現状をみんなから聞きました。これが良いように今回は働いてくれた。ここからさらに順位、個人の能力や質を上げていくためにもっと追求したいと思います。そういう話し合いができて良かったです」

浦和戦でのチームパフォーマンスは、松木曰く「クラモフスキー監督が求めているサッカー」。松木はまた「ボールを大事にしながら第一優先のゴールを目指すサッカーが多少できていた」とも言っていた。

ただ、個人的に目を見張ったのは4-4-2システムに近い形で前からプレスをかけている守備。荒木と松木が立ち上がりからサボらずにプレッシャーをかけ、その2人の動きに合わせるかのようにスペースを潰し、相手をスローダウンさせて、クロスを上げられても自陣ゴール前で数的優位を作って弾き返す。そうしたディフェンスが機能している印象だった。実際、松木も守備には手応えを掴んでいるようだった。

「自分も(荒木遼)太郎くんも守備ができる選手で、前線からのプレスを90分間やる続けたことは良かったと思うし、そこでチーム全体が前についてくれたことも良かった」

松木と荒木のアベックゴールに目を奪われがちだが、浦和の攻撃を停滞させた“組織的な守備”も決して見逃せない。勝利を掴むうえでその守備こそがポイントだった。事実、荒木も「良い守備ができていました」と証言している。

いずれにしても、これで新国立競技場では6戦無敗。次節の鹿島アントラーズ戦に弾みをつけたのは間違いないだろう。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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