春告げ昆布600キロ収穫 新湊、地震影響なく漁師安堵 薄く軟らかい「良い出来」

水揚げされた春告げ昆布=射水市内

 射水市新湊地区の春の風物詩となっている養殖マコンブ「春告げ昆布」の今シーズンの水揚げが3日までに終わった。1月の能登半島地震による影響も心配されたが、例年並みの約600キロを獲ることができ、漁業関係者は安堵(あんど)している。来季からは「射水の昆布」の付加価値を高める活動にも力を入れる方針で、昆布で港町を盛り上げていく。

 富山県は昆布の消費量日本一として知られながら、県産が少なかったことから、新湊地区の漁師らが約10年前に養殖を始めた。

 漁師は毎年、海水温が下がる12月ごろに海中に種糸を設置し、3~4カ月育てて収穫する。今シーズンは港から約2キロ沖に種糸を設置し、3月4日から収穫を始めた。全長6メートルほどになる一大産地の北海道産に比べ、若い1.5メートル程度で刈り取る。薄くて軟らかいのが特長で、全国から引き合いも増えている。

 昆布栽培に携わる「新徳丸」の塩谷卓之船頭(39)は、昆布の仕掛けが津波で流されているのではないかと心配していたが、被害はなかった。今年は3月28日まで収穫し、海水温が昆布に適していたため、例年より良い出来だという。塩谷さんは「実際に水揚げするまで不安だったが、自信を持って出荷できる昆布に仕上がって良かった」と話した。

 春告げ昆布を販売する東海水産(本町)では、多くの観光客らが買い求める人気商品となっている。3日も客が詰めかけ、東海勝久代表は「昆布といえば『射水』といってもらえるようにPRしていきたい」と意気込んだ。

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