「町のお医者さん」求む 滑川市、開業に6000万円

滑川市は今年度、開業医確保のため助成事業を開始した=市役所

  ●将来の医師確保へ助成

 「町のお医者さんは滑川で開業して」―滑川市は今年度、市内で診療所を開設すると土地や建物、必要な医療設備に最大6千万円を助成する事業を始めた。地域医療を担う開業医が高齢化や後継者不足により、足りなくなる可能性が大きいため、将来の医師確保を目指す。富山市と周辺4市町村の「富山医療圏」では県都富山での開業が多く、滑川は開業資金として破格の支援を出して呼び込みを図る。

 「同じ医療圏で川を一本渡れば、(開業資金の)半額が出る。『じゃあ、そっちでやろうか』となる人もいるんじゃないか」

 水野達夫市長は3日、富山新聞の取材に新たな助成事業への期待を込めた。

 助成事業では、土地や建物の取得に最大5千万円、医療機器の購入に最大1千万円を助成する。補助率はいずれも2分の1で、全ての診療科目が対象となる。

 滑川市には現在、厚生連滑川病院と吉見病院、13の診療所があり、診療所1カ所は休診中。2021年には小児科医1カ所が閉院した。特に開業医の高齢化が進んでおり、新たな医師確保が課題となっている。

 市によると、開業医は地域の医療を維持するだけでなく、学校医として子どもたちの健康も担っている。助成条件には、滑川での10年以上の診療継続や市医師会への加入などがあり、長く地元で事業を続けてもらえるようにする。

 富山県内では、小矢部市が2012年度から、市内で産婦人科医療施設を開設する医師に対し、上限1億円を補助する制度を設けている。市内に分娩を取り扱う医療機関がない状態が続いているためで、これまでに応募はなく、市は今年度から対象を助産所にも広げている。

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