中部整備局/天竜川ダム再編工事本格化へ事務所設置、24年度は9億円投入

中部地方整備局は本年度、天竜川ダム再編事業に約9億円を投入する。佐久間ダムの洪水調節機能増強と恒久的な堆砂対策を実施するため、増設する放流設備や掘削した貯水池内の土砂を運搬する専用トンネルの設計・検討、工事用道路の整備などを進める。工事の本格化に備え中部整備局は天竜川ダム再編工事事務所を静岡県磐田市内に設置、8日に開所式を行う。
天竜川ダム再編事業は、天竜川中下流部の洪水を防ぐため、利水専用の佐久間ダム(右岸・愛知県豊根村、左岸・浜松市天竜区)を有効活用し、貯水池運用方法の変容(発電容量買い収り)や貯水池掘削で洪水調節容量を確保。放流能力を増強するため放流設備を整備する。
放流設備は堤体右岸に整備する。本年度はダム堤頂やトンネルなどの設置方法、費用などの検討を進める。堆砂対策はバックホウとグラブ浚渫船で土砂を掘削し、左岸側に設けた揚砂場からベルトコンベヤーでダム下流部に運搬する。ベルトコンベヤーが通る専用のトンネルも整備する。ダムの操作を行う管理庁舎も整備する。
総事業費は約790億円。2023年度までの執行額は約184億円。事業期間は31年度までを見込んでいるが、働き方改革に伴う必要工期やコストの検討など、工事の本格化に備え本年度もさまざまな角度から検討を進める。

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