上皇さまの桜が開花間近、植樹祭でお手まき 富山県入善町椚山公民館敷地、住民が心込めて世話

膨らみ始めたエドヒガンのつぼみを眺めるグリーンキーパーら

 桜の便りが各地に届く中、富山県入善町椚山公民館の敷地で、2017年に県内で開かれた第68回全国植樹祭の際に上皇さまがお手まきされたエドヒガンが初めての開花を迎えようとしている。種から成長した苗木の配布を受けた地区住民が19年から丹精込めて育て、5度目の春でつぼみを付けた。関係者らは「待ち望んでいた花を見るのが楽しみ」と期待を膨らませている。

 県内で2回目となった全国植樹祭は2017年5月、当時の天皇、皇后両陛下を迎え、魚津桃山運動公園を主会場に開催。お二人は県開発の優良無花粉スギなど6種類の苗木を植え、長寿とされるエドヒガンなど4種類の種をまかれた。

 植樹祭後、エドヒガンは県中央植物園(富山市)で育てられ、19年秋に苗木約70本が県内で希望のあった公共施設や団体などに配られた。入善町では町中央公園と共に、花と緑の銀行入善支店椚山地方銀行が譲り受け、椚山公民館にある「椚の松」の隣に植樹した。

 貴重な桜を咲かせようと、椚山地方銀行のグリーンキーパーらが管理に励んだ。「とやまさくら守の会」の助言も受け、毎年3月の剪定(せんてい)や施肥、毎月の除草作業に汗を流し、4年半で樹高は約30センチから3メートル超に成長。3月26日に待望のつぼみが膨らみ始めた。

 同公民館によると、順調なら4月10日ごろに花が見頃を迎える。玄関前のソメイヨシノとの“共演”も期待できるという。椚山地方銀行頭取の上島繁さん(72)は「やっと努力が実を結びそうでうれしい気持ち。多くの人に桜の花をお披露目できればいい」と話している。

椚山公民館前の椚の松(奥)の隣に植えられているエドヒガン

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