相模原市 さくら通りの並木  老木対策で維持管理  相模原市中央区

満開時の市役所さくら通り(写真は2018年)

いよいよ6年ぶりに相模原市民桜まつりが開かれる。その舞台となる市道市役所前通(通称・市役所さくら通り)をはじめ、区内各所でようやく桜が咲き出し、美しい風景を彩っている。一方で近年は桜の老木化が進み、伐採されるケースも少なくない。市民の安全を守りながら桜並木をどう維持していくのか、相模原市の担当者に聞いた。

全国で老木化が問題

ソメイヨシノの平均的な寿命は50年〜70年といわれる。高度経済成長期に緑化活動の一環で街路樹として植えられた。近年では寿命を迎え、倒木や根上がりによる舗装の破壊、歩行者や自動車への通行障害などが問題となっている。全国では桜以外の樹木に植え替えるケースや一斉に伐採して更新するケースがあり、自治体の対応が求められている。

定期診断で存続

「伐採することはあるが、なくすということではない。事故が起きないように市民の安全を守りながら桜並木を存続させていくため、定期的な診断を続け、適切な維持管理をしていきたい」と話すのは市道路計画課の担当者。

桜まつりが行われる市役所さくら通りには約300本の桜が並び、長年市民に親しまれてきた。ただ多くの桜が樹齢70年を超えており、老木化が進んでいるという。

相模原市は2012年、市役所周辺桜並木の維持管理方針を策定。「桜並木を守り、未来へつなげるために」を基本に維持管理を行い、今後も市民に愛される桜並木として存続させていく方針を示した。

市は現在、相模原消防署前を通る相模原横山線、弥栄周辺を走る南橋本青葉線、市役所さくら通りの3つの桜並木について専門家(樹木医)による診断を実施している。診断は3年周期で行い、倒木などの危険性が高いと判断した場合には、緊急で伐採を行っている。

伐採を行った部分への新たな補植については、景観を維持しつつ、新たに植えた桜が健康に育つように適切に行っていくという。

倒木対策進む

相模原市役所周辺の桜並木では10年や22年に倒木事故が発生した経緯がある。倒木事故は、桜に限らず全国で相次いでおり、昨年は緑区のキャンプ場でも発生した。老木化だけでなく、虫が媒介する菌によって枯れる「ナラ枯れ」の被害も深刻だ。

市は昨年、キャンプ場での事故を受けて外観上明らかに危険と判断された街路樹133本を伐採した。その後の緊急点検で倒木の恐れがあると判断された樹木についても、中央区内にあった11本についてはすでに伐採が完了している。今年度は再度精密な点検を行うという。同課の担当者は「事故が起きないよう、今後も計画的に診断を行う」と話している。

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