レッドブルF1昇格を争う角田裕毅。感情の制御にも注力「慣れるには時間がかかるが改善を続けていける」

 RBの角田裕毅は、コクピットのなかで自分の感情をコントロールする努力を続けていると述べており、フラストレーションを発散したい衝動を抑えるには、F1マシンのGフォースと戦うのと同じくらいのエネルギーが必要だと認めている。

 角田にはユニークな宿敵がいる。それは彼自身だ。F1で4シーズン目を迎え、今年24歳になる角田は、無線で感情のままに暴言を発することで、やや悪名高い存在となっている。罵り言葉やフラストレーションが無線を埋め尽くすことが多く、特にチームの指示が自分の思い通りにならないときはなおさらそうなる。

 そのいい例が、シーズン開幕戦のバーレーンGPだ。チームメイトであるダニエル・リカルドを先に行かせるよう指示されたとき、当初角田は渋って公然と不快感を表明し、フィニッシュ後にはリカルドを強引に追い越した。

 角田は燃えるような感情をヘルメットのなかに抑えようと辛抱強く努力してきたが、その進歩は非常に遅いものだった。しかし自制心を改善しないことには、レッドブルへの昇格はあり得ないことを角田は知っている。たとえコース上でのパフォーマンスによって考慮の対象になったとしてもだ。

 今シーズンはこれまでのところ、角田の実績は全体的にポジティブな方向を示している。予選では3回中2回Q3に進出し、土曜日にはリカルドを総合的に上回っている。しかしながらレースの結果はまちまちだ。角田は、最初の2レースではポイントを獲得できず、第2戦サウジアラビアGPではケビン・マグヌッセン(ハース)の戦略の犠牲になった。それでも、第3戦オーストラリアGPでは力強い走りで、ようやく7位入賞を実現した。

2024年F1第3戦オーストラリアGP 角田裕毅(RB)

 それにもかかわらず、レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは公然と角田に対し、2025年に向けレッドブル・レーシングの誰もが望むシートを争うには「もっとやる必要がある」と語った。

「うまくいけば、彼らは検討してくれるでしょう」と角田がメルボルンで語ったと『The Race』は報じた。

「同時に、他のチームにもパフォーマンスを示すことができるようにできる限りのことをしています。ドライバーとしての価値を高め、戦えることを証明したいのです」

「レッドブルに何が起きているのかは分かりませんが、彼らが熱心に検討してくれることを願っています」

 しかし23歳の若手である角田は、結果に関係なく、マシンのなかでのストレスを掌握する必要があることをよく認識している。

「それは僕が改善しなければいけないことで、そのことに取り組んでいるところです。改善を見せることができると思います。僕にはひとつだけでなく、ふたつ以上のステップが必要で、そのことを証明できると確信しています」

「僕を欲しがるかどうかは彼ら(レッドブル)次第です。でも僕は主に自制心に焦点を当てていて、それ以外はかなりの自信があります。僕はほとんどのことを達成しており、改善を続けています」

2024年F1第2戦サウジアラビアGP 角田裕毅(RB)

 角田は、サウジアラビアではマグヌッセンの妙な行動に車内で苛立ちとストレスを感じながらも、なんとか無線から離れていたと語った。

「当然ですが、そうして続けることは常により難しいことです。でも、それが僕が目指していることであり、やらなければいけないことです」

「それでももちろん簡単ではありませんでした。ヘルメットをかぶっていても、地獄のように舌を噛んでいました」

 また角田は、自制しようとするとき、実際にマシンをドライブするよりも多くのエネルギーが必要になる場合があることに気づいた。

「(チーム無線を使わないことに)実はかなりのエネルギーが必要だとは知りませんでした。首やGフォースよりも、ストレスを抑えておくためにエネルギーを多く使っています」

「慣れるには時間がかかると思います。でも、少なくとも初めて僕は我慢できたかと思うので、これからも続けられると確信しています」

2024年F1第2戦サウジアラビアGP 角田裕毅(RB)とケビン・マグヌッセン(ハース)のバトル

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