自転車ヘルメット 購入補助拡大 茨城 努力義務化1年 鍵握る高校生

ヘルメットを着用し、自転車で街中を走る学生=茨城県水戸市三の丸

自転車利用者のヘルメット着用を巡り、購入補助に乗り出す茨城県内の自治体が増えている。着用が努力義務となって1年。2023年度は6市が補助制度を導入し、24年度は新たに5市町などでスタートした。着用率向上の鍵を握るのは自転車通学の高校生とみられるが、学校によって対応が分かれており、茨城県警は地道な呼びかけを続けている。

ヘルメット着用の努力義務は23年4月施行の改正道交法に盛り込まれ、全年齢が対象となった。

県警などによると、県内で23年度にヘルメットの購入補助制度を導入したのは、古河と石岡、つくば、龍ケ崎、神栖、潮来の計6市。

高校生相当年齢の市民を対象にした神栖市は、購入費の50%(上限2000円)を補助。24年度は新たに65歳以上も対象に加え、5月中旬から申請を受け付ける。

つくば市では20年4月から、18歳までの市民を対象に同様の補助を実施。着用が努力義務となった23年度は中高生を中心に申請が増え、年度途中で当初の事業費50万円に25万円を追加する補正予算を編成した。市サイクルコミュニティ推進室は「安全を守るためにヘルメットの着用は重要」と強調する。

茨城新聞のまとめでは、24年度に高校生などを対象に購入補助を始めるのは、土浦、高萩、北茨城、小美玉、八千代の計5市町。下妻と常陸太田の両市も導入を検討する。また、筑西地区交通安全協会は4月、市内高校生らを対象に購入補助を開始した。

県教育委員会によると、23年10月現在、県内の公私立高校生は約7万人で、自転車通学者は半数超の3万5000人余りに上るという。

ヘルメット着用は学校によって対応が分かれ、江戸川学園取手と智学館中等教育学校が自転車通学者に義務付け。日立一、鹿島、日本ウェルネスの3校は運動部を対象に義務化した。

一方、全校生徒の6割近くが自転車通学する県央地域の県立高は、ヘルメット着用率が3%未満。着用が道交法上の努力義務にとどまるため、「校則で義務化するわけにはいかない」としている。経済状況が異なる保護者に、一律で購入を依頼するのも難しいという。

県警交通総務課によると、23年1年間に起きた自転車事故の死傷者は920人で、高校生が当事者となったのは全体の21.2%に当たる195人。このうちヘルメットを着用していたのは8.2%だった。

県警は3月、一部高校の合格者説明会で、生徒や保護者に着用を呼びかけた。今後は、県学校長会など関係機関に働きかけ、さらなる着用率向上を目指す方針で、同課は「粘り強く働きかけて、一人一人に重要性を認識してもらうよう声をかけていきたい」としている。

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